【北京=三塚聖平】中国で、富裕層を中心に海外への移住を検討する人が増えている。習近平国家主席が長期政権化を目指す共産党大会を前に、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に押さえ込む「ゼロコロナ」政策など強権的な諸政策への懸念や反発が強まっているためだ。中国当局も海外逃避の動きを警戒しているとみられる。
北京で海外移住のコンサルタント会社を経営する女性は、今年に入り海外移住の問い合わせが昨年比で50%程度増えたと明かす。特に3月下旬から約2カ月間に及んだ上海市のロックダウン(都市封鎖)が、「海外移住検討の牽引車的な役割を果たした」と話す。移住先ではオーストラリアやカナダ、ギリシャ、日本などが人気だという。
米ブルームバーグ通信は7月中旬、約1万人の富裕層が今年、計480億ドル(約6兆6千億円)を持ち中国を離れようとしているとの英コンサルティング会社の推計を伝えている。