アルコールとの付き合い方が変わってきた。「飲めるけれど、あえて飲まない」という20~30代が増えている。市場調査では若い世代のアルコール離れが顕著で、とりわけビール類の販売数量は平成16年以降、17年連続で前年割れが続く。自分らしさにこだわり、気に入った商品には出費を惜しまない傾向が強いとされる若者世代を取り込もうと、大手ビール各社は〝4社4様〟の戦略で顧客獲得を目指している。
厚生労働省の「平成30年国民健康・栄養調査報告」によると、20~70歳以上で飲酒の頻度について「ほとんど飲まない」と「やめた」を合わせた割合は男性17・0%、女性18・2%。20代に絞ると男性28・6%、女性24・7%で、20代の4人に1人が「飲めるけれど、ほとんど飲まない」層といえる。これに「飲まない」を合わせると、20代の半分以上が飲酒に消極的だ。ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は「他年代と比べて多く特徴的。デジタルネーティブで娯楽の幅が広く、お酒は『コストパフォーマンスの悪い娯楽』という考えがあるのでは」と指摘する。
「飲まない」は世界的な潮流だ。体質に限らず、心身の健康のためにあえてお酒を飲まない考えが欧米を席巻している。英語でSOBER(酔っていない、しらふ)と、CURIOUS(強い好奇心)を組み合わせた造語「ソバーキュリアス」と呼ばれる。アルコール市場の縮小は世界規模だが、ノンアルコールや度数の低い微アルコールは拡大傾向にある。