公明、参院選得票減で焦り 防衛費増、慎重論へ回帰

公明党の山口那津男代表(鴨志田拓海撮影)
公明党の山口那津男代表(鴨志田拓海撮影)

秋にも本格化する防衛費増額に関する与党間の協議をめぐり、自民、公明両党の主導権争いが激化する様相を呈している。公明は先の参院選で改選14議席を維持できず、比例代表の得票も昨秋の衆院選から急減した。自民は集票力が弱体化したとみており、公明に慎重論が強い防衛費の大幅増も一気に押し切れるとの声も強い。逆に公明側は求心力の回復を狙い、「増額ありき」といった議論にブレーキをかけようと躍起だ。

公明の山口那津男代表は26日の記者会見で、防衛費増額をめぐる議論の方向性について「額そのものありきではなく、何が日本の防衛のために必要なのかをしっかり議論を重ね結論を出していくべきだ」と指摘。来年度予算編成で、前年度比1兆円前後の増額を求める自民幹部らを牽制(けんせい)した。

もともと公明は防衛費の大幅増に消極的だったが、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う世論の変化も受け、参院選では「日本にふさわしい防衛力を強化することは必要だ」(山口氏)と主張するようになった。参院選の重点政策にも「国際社会の平和と安定」を掲げ、環境の変化に即した防衛力整備の必要性を訴えた。

しかし、結果は改選議席の維持と比例票で800万票獲得という目標をいずれも達成できなかった。特に比例票は先の衆院選の約711万票よりも約93万票減の約618万票となり、党幹部らに衝撃を与えた。

この結果が、防衛費増額をめぐる議論に影響する可能性がある。公明の強みだった支持母体の創価学会を中心とした集票力は、政府・自民に主張をのませる力の源泉になっていたからだ。公明関係者は「自民に対抗する武器を失ってしまった」と焦りを隠さない。

政府は今月末から外交・安全保障政策の根幹をなす国家安保戦略など戦略3文書の改定作業を本格化させる。作業では、自民が参院選公約に掲げた国内総生産(GDP)比2%以上を念頭にした防衛費増額などが焦点となる。山口氏は参院選で、現状のGDP比1%水準の防衛費が国際社会から信頼されてきたとして「そこを崩すようなことを一気にやるのはかえってまずい」と批判してきた。

公明では党を支える創価学会員らへのアピールのため、「平和の党」という原点に回帰すべきだとの意見も強まっている。与党協議でブレーキ役を担い、来春の統一地方選に向けた実績にしたいとの思惑もある。

こうした見方について、政権幹部は突き放すように語った。

「公明は議席を減らしたんだっけ? そんな状況で思い切ったことはいえないと思うけどね」(千田恒弥)

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