主張

安倍元首相の国葬 野党の反対は理解できぬ

政府は、安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)を9月27日に実施することを閣議決定した。首相経験者の国葬は、吉田茂元首相以来、55年ぶりで戦後2例目である。

本紙は14日付主張で、「国際社会が示してくれた追悼にふさわしい礼遇を示すことが大切だ」と指摘し、国葬の実現を求めていた。決定を歓迎する。

各種世論調査で、国葬に賛意を示す国民は多数を占めているが、慎重派も少なくない。野党も共産、立憲民主、社民などが国葬実施に反対している。

その理由として共産党の志位和夫委員長は、①国民の評価が分かれている元首相の業績を国家として賛美することになる②元首相への弔意を強制する―を挙げた。

また、立憲民主党の泉健太代表は「天皇陛下や上皇陛下の国葬については国民の理解があるが、それ以外はないと思う」と述べ、国葬はふさわしくないとした。

これらの批判は、いずれも的外れである。

白昼の銃撃で倒れた安倍氏の葬儀を国葬として執り行うことは、国民の支持を得て長く政権を預かった元首相を国として追悼するばかりでなく、日本が「暴力に屈せず、民主主義を守り抜く」(岸田文雄首相)姿勢を内外に示す意義がある。アベノミクスなど評価が分かれている元首相の業績を無条件で賛美するわけではない。

弔意の強制についても政府はすでに9月27日を休日とせず、黙禱(もくとう)なども強制しない方針を明確にしている。

皇族以外、国葬をやってはならぬ、という泉氏の主張は論外であり、首相経験者の国葬は弔問外交の場ともなる。

エリザベス女王が国家元首を務める英国でも1965年、チャーチル元首相の国葬が行われ、各国の国王や元首、首相ら111カ国の代表が参列、日本からは岸信介元首相が列席した。

「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げ、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に尽力した安倍氏を国葬で各国の首脳とともにしのぶのは、国益にかなっている。

政府は、国葬の意義をさらに詳しく国民に説明するとともに、元首相の国葬後に、国葬に関する法令の整備を進めてもらいたい。国家に功績のあった人物を国葬で送るのは、諸外国では当たり前である。日本もそうあるべきだ。

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