英保守党首選 スナク氏、対中融和懸念払拭図る 「孔子学院は閉鎖」

テレビ討論会に臨むスナク氏(左)とトラス氏=25日、英中部ストーク・オン・トレント(PA提供・AP=共同)
テレビ討論会に臨むスナク氏(左)とトラス氏=25日、英中部ストーク・オン・トレント(PA提供・AP=共同)

【アムステルダム=板東和正】ジョンソン英首相の後任を決める与党・保守党の党首選で、スナク前財務相がトラス外相が25日、決選投票への進出決定後初となるテレビ討論会に出席し、中国への対応などをめぐり舌戦を交わした。

トラス氏は討論会で、スナク氏が財務相を今月辞任するまで「中国との緊密な貿易関係を追求してきた」と批判。自身が勝利すれば、中国当局への利用者データ流出が懸念される中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など中国系IT企業に断固とした対処をとることを約束した。

スナク氏はこれに対し、トラス氏もかつて中国との関係について「黄金期」を迎えると発言していたと反撃。「中国はわれわれの国家安全保障や経済安全保障にとって脅威だ」と対中強硬姿勢を強調した。

スナク氏は25日の討論会前には中国への対処策をツイッターで表明。中国政府が中国語普及の国外拠点とする孔子学院について「英国内ではすべて閉鎖する」などとした。

保守党内では、スナク氏が中国との貿易関係強化を視野に入れているともみられ、中国への融和姿勢に警戒もある。そのためスナク氏は決選投票に向け、中国への厳しい外交姿勢を打ち出すことで、自身への対中姿勢への懸念払拭を図ろうしているとみられる。

中国に厳しい保守党のダンカンスミス元党首はスナク氏が中国に強硬な姿勢を示したことについて、「驚きだ」と英メディアに語った。英BBC放送は、スナク氏について、過去に対中貿易の緊密化を「支持していた」が、態度を変えた可能性もあると指摘した。

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