たばこと健康

親から子に伝わる喫煙習慣

私の勤務する高崎健康福祉大学では、今年も禁煙アンケートを実施した。その集計結果から、親子2世代の喫煙について紹介する。

表1に示すように、20歳未満の男女学生の喫煙者は皆無だったが、20歳以上の喫煙者の割合(以下喫煙率)は男性4・9%、女性1・2%だった。全国の20代喫煙率と比べると非常に低い値である。しかし、本学は「健康・医療・福祉・教育」などの専門職の養成を使命としていることから、私たちは全学生を非喫煙者として社会に送り出したいと考え、禁煙支援にも力を入れている。

アンケートには、「あなたの周囲にたばこを吸う人はいますか」という質問がある。これに「父親、母親の喫煙」を回答した学生の割合は親の喫煙率と考えられる、表1のごとく学生の親と同年代と考えられる全国の40代、50代の喫煙率とほぼ同レベルの結果であった。

子は親を見て育つので、親の喫煙状況によって子の喫煙行動は影響を受けることが予想される。そこで、男女学生を父母の喫煙状況により、それぞれ4つの集団に分け、各集団の喫煙状況などを集計した結果を表2に示した。データは20歳未満を含む全回答者について集計したものである。

男性学生の喫煙率は「両親とも喫煙」集団が最も高く、次いで「母親のみ喫煙」、「父親のみ喫煙」の順となった。女性学生の喫煙率は「母親のみ喫煙」集団が最も高く、次いで「両親とも喫煙」集団であった。男女とも「両親とも非喫煙」集団の喫煙率が最も低い。一度もたばこを吸ったことのない学生の割合(以下、未喫煙率)は男性では「両親とも非喫煙」集団が最も高く、次いで「父親のみ喫煙」の順であった。女性の未喫煙率は「父親のみ喫煙」集団が最も高く、「両親とも喫煙」が最も低い結果であった。

アンケートには「交際あるいは結婚したい相手の人の喫煙をどう思いますか」という設問もあり、「全く気にしない」および「あまり気にしない」と回答した学生を、合わせて「交際相手の喫煙を容認する学生」として、割合(以下、喫煙容認率)を集計した。全体の数値は男性が19・0%、女性は8・0%であった。喫煙容認率も両親の喫煙状況で違いが見られた。

男性学生の喫煙容認率は「母親のみ喫煙」集団が最も高く、「両親とも喫煙」が続く。女性学生の喫煙容認率は「両親とも喫煙」集団が最も高く、「母親のみ喫煙」と続く。これらは、母親の喫煙の影響を示唆している。男女とも、「両親とも非喫煙」集団と他の集団では喫煙容認率に有意差があることが確認できた。

親の喫煙状況と学生の喫煙率、未喫煙率や喫煙容認率の分析結果から、親の喫煙は子供がたばこに親しみを持つよう促しやすいと言えそうだ。

家庭は受動喫煙の主要な場所となっている。親の喫煙で子供は受動喫煙を強いられるが、影響はそれだけではない。今回の分析で、親の喫煙が将来の子供の喫煙につながっていることは明らかだ。親の喫煙は、子供の将来に大きなリスクを負わせている。結婚の際は、生涯の愛とともに生涯の禁煙も誓っていただきたい。

(高崎健康福祉大教授  東福寺幾夫)

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