7月26日といふ日付を見る度に<あゝポツダム宣言発出の日だな>と反射的に連想が走るのは戦中派世代の身に染みついた固定観念の如(ごと)きもので、その事自体にはもはや特別の感慨はない。
戦後の日本に深い刻印
然(しか)し本年から算(かぞ)へれば77年の昔の事になるあの出来事は、やはり戦後の日本の国柄と社会のあり方に、いまだに拭ひ去る事のできない深い刻印を遺してゐる歴史の創痍(そうい)なのであつて、年に一度くらゐはその事実を想ひ起し、改めて現在の我々の境位に投げかけてゐる翳(かげ)の意味を反芻(はんすう)してみる機会としてよいのではないかと考へる。