写真紀行・瀬戸内家族

全身で輝く夏の海を満喫

今年は夏の訪れがずいぶん早かった。なにしろ六月末にはほぼ全国的に梅雨が明けていたのだから驚いてしまう。

四季のめぐりの中で、夏の始まりほど鮮やかに立ち現れる季節もほかにないだろう。しとしとと降り続く長雨にうんざりした頃、雷鳴が激しくとどろき、驟(にわか)雨が地上を打ち叩く。

やがて雲間から光が射し込み、濃紺の空がみるみる広がる中、真っ白な入道雲がそびえ立つように膨張してゆく。ドラマチックな夏の始まりは、いくつになっても心を弾ませてくれるものだ。

例年であれば梅雨が明けるのは七月の下旬、ちょうど「海の日」前後であることが多い。そこで今週は、夏本番にあわせてこんな写真を選んでみた。瀬戸内の海に飛び込んでゆくのは我(わ)が家の長女になる。浮輪(うきわ)につかまりそれを見上げているのが妻と次女。水面をのんびりと漂う地元の海水浴客を含め、なんとも楽しげな光景ではないだろうか。

実は五年前の「海の日」にも、同じ場所から飛び込む長女の写真を本連載で使ったことがある。どうやらこの光景は我(わ)が家の夏の風物詩らしい。

さあ今年もいよいよ夏本番。青く輝く瀬戸内の海へ、思いっきり飛び込んでゆこうではないか。

小池英文(こいけ・ひでふみ)写真家。東京生まれ。米国高校卒後、インドや瀬戸内等の作品を発表。広島・因島を中心に撮影した写真集「瀬戸内家族」(冬青社)を出版。ウェブサイト「http://www.koike.asia/」

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