「千人未満」目安に存廃協議 地方鉄道、国主導で見直し

国土交通省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)
国土交通省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)

地方鉄道の在り方を検討する国土交通省の有識者会議が25日に開かれ、1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が千人未満のJR線区などを対象に、バス転換なども含め存廃を検討する国主導の協議会を設置することを盛り込んだ提言案が示された。座長の竹内健蔵東京女子大教授は協議会について「廃止、存続ありきではない。第一歩となる協議の場だ」と強調し、地域の実情に合った公共交通の検討促進を求めた。

地方鉄道を巡っては、人口減少や新型コロナウイルス禍による利用減などで多くの事業者が苦境に立たされている一方、地元の反発もあって存廃議論が避けられてきたケースも多い。中間報告では「これからさらに人口が減少する中で、これ以上の問題の先送りは許されない」と指摘した。

協議会は鉄道事業者か沿線自治体の要請を受け、国が認定する対象線区ごとに設置。名称は「特定線区再構築協議会」(仮称)。

認定条件の目安は、輸送密度がコロナ禍などの要因を除いて千人未満の場合に加え、複数の都道府県にまたがるなど広域調整が必要な線区とした。

一方、隣り合う駅間の1時間の乗客数が、通勤や通学の利用ピーク時に1区間でも上下線のいずれかで500人を超える場合は対象外とした。また、都道府県庁所在地など拠点都市間を行き来する特急や重要な貨物列車が走る線区、自治体が出資する第三セクターの鉄道も対象から除いた。

協議に際しては、廃止や存続を前提とした議論ではなく、国交省担当者は「基本原則は自治体が検討すべきだ」と強調。利便性の向上などによる乗客増の模索、バスやバス高速輸送システム(BRT)などの導入可否を検討する。3年以内をめどに自治体と鉄道事業者が合意の上で結論を出すべきだと明記された。

一方、国に対しては鉄道存続に向けた支援策を講ずるよう要請。地元の同意が得られれば国の認可がなくても上限を超えた運賃の値上げをできるようにしたり、バスやBRTの運行費などを支援したりすることも盛り込んだ。

依然として自治体などから懸念の声が上がっていることから、竹内座長は「協議の場で鉄道の廃止、存続の議論から入るのは順序が逆。街づくりや都市づくりについて考え、その上でどのモビリティサービスが適しているかという順序で協議してほしい」と述べた。

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