コンビニ各社が「レトロ」で食品開発 人気商品復活、ファン拡大も

ファミリーマートの復活商品「和風ツナパン」(税込み128円)
ファミリーマートの復活商品「和風ツナパン」(税込み128円)

コンビニ各社が過去にヒットした食品の〝復活〟や、昔人気を集めたスイーツをアレンジした商品に力を入れている。コンビニとともに育った世代なら懐かしく、売り上げにも直結するとの戦略に加え、昨今、20代の若者を中心にトレンドとなっている昭和や平成へのレトロブームも相まって、若者への浸透というファン拡大も図れる―との狙いもあるようだ。

往年のファンから喜びの声

ファミリーマートが7月中旬から沖縄県を除く全店舗で復活させたのは「和風ツナパン」 だ。最初の発売は平成21年10月。売上高などは明らかにしていないが、ファミリーマート広報部の岩下智美さんは「売り切れ店続出というほどではないが、30~40代のサ ラリーマンの間で根強い人気があった」と振り返る。

復活の呼び水となったのは、実はある〝失敗〟だった。食品の新作アイデアを絶えず模索する中、同社は2月、材料のツナこそ同じだが、「和風ツナパン」とは仕様も違う別の商品「ふんわりパンで食べるツナマヨネーズ」を発売した。顧客層は「和風パン」に親しんだ世代よりも若年層も想定。ツナの旨味をしっかりと味わえる「和風ツナパン」に比べ、 玉ねぎなどの具材を増やしツナフィリング(パンの詰め物)の味を楽しむタイプだった。

だが、売れなかった。企画担当者らは「和風ツナパン」を、もう1度復活させてみようと 戦略を練り直そうと決める。ターゲットは昔の「和風ツナパン」に親しんで育った世代で 、味わいも当時そのままを軸とした。

復活した商品は、マヨネーズ、ツナのしっかりとしたコクのある味わいの中に、サクサクとした玉ねぎの食感がアクセントとなっており、シンプルだが飽きのこない味わいが特徴 。また、醤油などで味付けされた和風味のツナフィリングをひと口目から味わってもらえるように、パンにびっしりと敷き詰めたのも魅力の一つだ。

狙い通り、40~50代のサラリーマンの間で人気を呼び、「ボリューム感が嬉しい」「 ツナの味がしっかりしていて美味しい」との声が寄せられたという。岩下さんは「レトロ復活という話題性から、もちろん若い世代の心にも刺さればうれしい」と期待する。

ヒット商品を復活させる販促手法について、同社は何度か試みたそうで、昨年8月31日 には「懐かしの看板商品復活祭」を開催。ファミリーマートのほか、am/pm、サーク ルK、サンクスから当時話題となった弁当やおむすび、デザートなどのヒット商品を復活 ・発売している。

純喫茶の定番が新たなスイーツに

ローソンは4月26日に全国の「ローソン」と「ナチュラルローソン」で、「ふぁふぁメ ロンクリームソーダ味 70g」(ふぁふぁ)を発売した。

「ふぁふぁ」は、羊かんの一種である、伝統的な和菓子「淡雪(あわゆき)」をベースに 、メロンクリームソーダで味付けたバニラ風味のスイーツだ。フワフワとした食感のメレンゲと、しっかりとした食感の寒天という2つの味わいを楽しめる。キューブ型と見た目のかわいらしさもアクセントになっている。

ローソンの復活商品「ふぁふぁメロンクリームソーダ味 70g」(税込み178円)
ローソンの復活商品「ふぁふぁメロンクリームソーダ味 70g」(税込み178円)

主役のメロンクリームソーダについて、「昨今のレトロ・喫茶店ブームを楽しむ若者を意識した」と語るのは、同社広報部アシスタントマネジャーの塚田賢太郎さん。昭和の香りの漂う純喫茶を訪れ、メロンクリームソーダの写真をインスタグラムなどのSNS(会員制交流サイト)に投稿する若者たちが話題になったことを踏まえ、「若い世代には新鮮さを、昭和世代の方には懐かしさを、それぞれ伝えられるのではないか」と復活を決めたと いう。 商品はたちまちSNS(会員制交流サイト)で話題となった。

売り上げは非公表だが、「当初2カ月の発売を予定していたが、想定を上回る売れ行きで、発売から約1か月で、一 時店頭への出荷を休止する事態になった」(塚田さん)。主に30~40代の女性が買い求めたという。 今月12日から全国の「ローソン」で再発売されている。

若年層取り込めば新たな「定番」商品も

コンビニ各社が「レトロ」をキーワードに食品開発に走る背景は何か。多くの企業の戦略立案を手がけてきた「eパートナーズ」(大阪市北区)の戦略コンサルタント、出口彰浩さんはまず、「多くの新商品が日々生みだされ、競争が激化しているコンビニ業界の中でヒット商品を生み出すことは非常に難しくなってきている」と、コンビニ業界を取り巻く経営環境の厳しさを指摘。そのうえで、復活商品を登場させる手法は「ある程度の成果が期待され、相対的リスクは低い戦い方と言える」と分析する。

ただ、復活商品がより大きなヒット商品になるためには、出口さんは「過去販売時のファンだけでは十分でなく、新しいファンの獲得が必要だ」とも指摘。コンビニと親和性が高い若年層にいかに受け入れられるかが大ヒットになるかどうかの分岐点になるとみている。「若年層を取り込むことができれば、過去ヒット時のファンと併せ、幅広いターゲットに受け入れられる定番商品が生まれることになり、コンビニ各社の競争力の強化につながるだろう」と期待する。(高橋天地)


会員限定記事会員サービス詳細