欧米を中心に感染者が増加しているウイルス感染症「サル痘」について、厚生労働省は25日、東京都内で患者が確認されたと明らかにした。国内で確認されるのは集計を開始した平成15年以降、海外からの輸入症例を含めて初めて。
厚労省や都によると、感染が確認されたのは都内在住の30代男性。6月下旬に欧州に渡航し、7月中旬に帰国した。渡航先で、その後サル痘と診断された患者との接触歴があったといい、東京都が感染経路や濃厚接触者の有無を調査する。男性は帰国後の7月15日に倦怠感を覚え、25日に都内の医療機関を受診、陽性が確認された。現在入院中で、最高で37・5度の発熱や発疹、頭痛などの症状があるものの、容体は安定しているという。
厚労省は海外で承認された治療薬を輸入しており、未承認の薬を治療に使えるかを探る「特定臨床研究」の枠組みを使って、国立国際医療研究センター(東京都)で投与できる。厚労省は男性患者の意思を確認した上で投与を検討する。また、天然痘ワクチンはサル痘に対しても発症・重症化予防効果があり、濃厚接触者が確認された場合には同様の枠組みで接種が可能だという。
サル痘の潜伏期間は通常7~14日程度で、初期症状は発熱や悪寒など。発熱後1~3日で顔や手足に発疹が出る。多くは2~4週間で自然に回復するが、症状が出てから発疹がなくなるまでは患者の体液や患部との接触などで感染させる可能性がある。感染症法で狂犬病などと同じ「4類感染症」に分類され、医師は患者発生時の届け出が義務付けられている。