高校ダンス日本一を決める「第15回日本高校ダンス部選手権(スーパーカップダンススタジアム)」(産経新聞社・ストリートダンス協会・フジテレビジョン主催、エースコック特別協賛)の近畿大会が8月3~5日、大阪市北区のグランキューブ大阪で開かれる。全国大会ビッグクラス(13~40人)で惜しくも2年連続準優勝となった大阪府立久米田高校(岸和田市)は初の全国制覇へ、〝3度目の正直〟を狙い、熱の入った練習に励んでいる。
同校ダンス部は過去、優雅で華麗な動きが持ち味の〝久米ダンス〟を披露してきた。だが、今年は迫力と躍動感あふれる作品に挑戦する。テーマは「だんじり」。部長の西脇彩音(あやね)さん(17)は「岸和田といえばだんじり。地元の人に愛されるものをダンスで表そうとメンバー全員の思いが一致した」と話す。
斬新な試みだが、まったく一からの作品づくりに、これまでにないエネルギーを使う部員ら。「だんじりの要素を巧みに盛り込まなければ」。2月以降、関係者からだんじりの屋根の上で踊る「大工方(だいくがた)」や全速力でだんじりを方向転換させる「やりまわし」の動きなどの指導を受けた。
岸和田地区本町・大工方の吉野保史(やすし)さん(44)は「最初はぎこちなかったが、日ごとにリズミカルになった」と評価。「大会では、祭り関係者の思いを背負って全国に〝だんじりパワー〟をとどろかせてほしい」とエールを送る。
疾走感のあるやりまわしの速さやだんじりの重みの感覚をつかむため、地元青年団の協力でだんじりにみたてた軽トラックを綱でひきまわす特訓をこなし、楽曲には「鳴物係」の人たちによる大小の太鼓、鉦(かね)、笛の演奏をとりいれた。音色にこだわる部員の狩森心雪(かりもりこゆき)さん(17)は「音の強弱など何度もリクエストに応えてくれて感謝感激」と喜ぶ。
衣装デザインは岸和田市出身のファッションデザイナー、コシノヒロコさんが手がけた。青と茶の色合いが見事な法被(はっぴ)は舞台映えし、背中には「干」の字に似た市章があしらわれている。祭りの際はコシノさんの生家の前をだんじりが疾走し、「格子窓の向こうをだんじりが走る姿を見て育った」と振り返るコシノさん。デザインはその色彩の変化を表現したという。全部員64人の熱意に「力のあるお手伝いができれば」と快く創作を引き受けた。
今大会の舞台に立つのは40人。新型コロナウイルス禍の中、練習に励んできた部員らは「マスクの着用を徹底する分、表情に苦労している。本番では最高のパフォーマンスを発揮したい」と声をそろえる。酷暑の中での熱中症対策にも余念がない。
顧問の八木克容(かつひろ)教諭(59)は「地元の人たちとすばらしい時間を過ごした部員たちの貴重な体験が日本一の喜びにつながれば幸いです」と話し、念願の初優勝に挑む。
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近畿大会には4府県からビッグクラスに65チーム、スモールクラスに88チームの出場が予定されている。