主張

米中首脳会談 習氏利する対応を避けよ

バイデン米大統領は近く中国の習近平国家主席と会談すると表明した。米中首脳会談は3月18日以来で、電話かオンライン形式で行われるとみられる。

今回はウクライナに侵略したロシアを支える中国に対し、バイデン氏が自由世界のリーダーとして、権威主義国のトップと、どう対峙(たいじ)するのか世界が注視する中での会談となる。

中国は東シナ海や南シナ海などで覇権主義的な動きを強め、人権侵害や不公正な貿易慣行も改める気配はない。そうした中で懸念されるのが、米国の国内事情からバイデン政権が中国に対して安易な譲歩に走ってしまうことだ。

対中制裁関税はトランプ前政権下の2018年に発動された。その第1弾が期限切れとなったのを機にインフレ対策も兼ねて見直しを検討してきた。撤廃を求める中国側に対しバイデン氏が習氏に一部撤廃を表明するとの見方が強まっている。11月の中間選挙を見据えた対応だろう。大局を忘れ対中関係を矮小(わいしょう)化してはならない。

米紙によると、関税撤廃の規模はトランプ前政権が関税を課した約3700億ドル(約51兆600億円)相当の中国産品のうち、100億ドル(約1兆3800億円)程度と限定的にする案が有力だという。対象は自転車など消費者向けの物品が中心になる見込みだ。

限定的になるとしても、関税の撤廃は不公正な貿易慣行を続ける中国の姿勢を黙認することにつながらないか。物価高騰に国民の不満が高まる中、関税撤廃が輸入物価の引き下げにつながることへの期待もあるのだろうが、米政権は慎重に検討すべきだろう。

緊張を増す台湾情勢でも、しっかりクギを刺す必要がある。

バイデン氏は5月、岸田文雄首相と会談後の共同記者会見で中国が台湾を攻撃した場合、米国が軍事的措置で防衛に関与すると明言した。そこから後退する発言をすれば、中国側に誤ったメッセージを与えてしまうだろう。米国は台湾関係法に基づき、台湾への武器供与を続けている。大統領は、地域の安定に資する支援の継続を首脳会談で明言すべきである。

米民主党のペロシ下院議長が8月に訪台するとの観測が流れている。ぜひ実現してほしい。米台高官による交流は台湾への米国の関与を明確にするものだ。それが抑止にもつながる。

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