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「雨に消えた向日葵」は原作を読んでから

24日からWOWOWで放送される連続ドラマ「雨に消えた向日葵(ひまわり)」。原作の同名小説(幻冬舎文庫)を書いた作家、吉川英梨さんを文芸誌上で取材したご縁で、放送前に全5話を見せてもらった。

雨が降る夏の日、埼玉県で小5の少女が行方不明になる。事件か、事故か、あるいは家出か。県警捜査1課の刑事、奈良健市(ムロツヨシさん)が捜査にあたるが、発見に至らないまま、無情に時間が過ぎていく。失踪者の家族に追い打ちをかける世間の悪意。じつは奈良にも、ある過去があって…。

ネタバレになるのでストーリーについてはこれぐらいにするが、映像と小説で大きく違っていたのは、父親の視点の有無。家族と別居している少女の父親をドラマでは佐藤隆太さんが演じている。事件によって生き方を揺さぶられる役柄。熱血キャラのイメージも生きていて陰影がくっきり。ナイスキャストだ。

原作小説では父親像は客観的に描かれている。たとえば不明少女の姉の視点で「父親の呼吸が浅い」という感じ。それでも十分に、パニックに陥った父親の心情は伝わってくる。想像力を働かせる余白が多いテキストは、書き過ぎない方が共感を得られることもあるのだろう。

吉川さんは、収録現場を訪れたときのことも話してくれた。自分がその場面を書くときに想像していた奈良刑事の心情は「喜び」だったのに、ムロさんが「悲しげな表情」をしていて、新鮮だったそうだ。「さまざまな読み方ができる小説ならでは」と話していた。本作はかなり原作に忠実な映像化だが、それでも読解は人によってさまざま。解釈や表現の差異を味わうのは、原作のある映像作品ならではの楽しみ方かもしれない。

そういえば、読んでから見るか、見てから読むか、みたいなCMも昔ありましたよね、と話題にすると、吉川さんは「読んでからの方が絶対面白いですよ」とおっしゃっていたので、それもお伝えしておきます。(ライター 篠原知存)

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