四足歩行ロボットで林業を救え 森林総研が実証実験

ペットボトルを運ぶ実証実験を行う四足歩行ロボット=茨城県つくば市松の里
ペットボトルを運ぶ実証実験を行う四足歩行ロボット=茨城県つくば市松の里

森林総合研究所(茨城県つくば市松の里)は同研究所内の屋外実験施設や筑波山の国有林などで、四足歩行ロボットを林業で活用するための実証実験を行っている。高齢化や若者の林業離れによる労働力不足を補うのが目的。森林総研では実験を検証した上で、モデルケースとして全国に普及させたい考えだ。茨城発の研究成果が林業を救うことにつながるかもしれない。

森林総研によると、林業従事者の高齢化や担い手不足などで、国内の木材自給率は約40%に留まっている。一方で、国産材の人気は高まっており、供給力不足が課題となっている。

国内の人工林は、約半分が伐採時期を迎えているが、近年は特に木材を伐採した後、新たに苗木を植える「再造林」が進んでいないという。

茨城県でも、県の面積約61万ヘクタールのうち、森林は大子町や常陸太田市などを中心に約3分の1を占める。再造林が進まないと、二酸化炭素の吸収量の低下や森林の荒廃による災害の増加なども懸念される。

このため、ICT(情報通信技術)など最新技術を活用した「スマート林業」の実現と脱炭素社会をめざし、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、昨年度からロボットの歩行実験を始めた。今年度は6月から本格的な実証実験を行っている。

実証実験では、ロボットに、切り株のような障害物がある斜面で、荷物の運搬や見回り作業を任せられるかなどを検証。傾斜角度が30度までの斜面を上り下りができる犬のような米国製四足歩行ロボットを使用する。森林環境で高精度な自動歩行がどこまで可能になるかや作業が可能な地表面の柔らかさなどを確認するという。

また、森林の多くは、携帯電話の電波が届かない場所。ソフトバンクの協力で、複数の通信手段を使い、ロボットが自動で歩行するための通信環境の検証も行う。

森林総研の宇津木玄(はじめ)研究ディレクターは「森林総研と筑波山の国有林は近いので実証実験に最適だ。将来的には、できるだけ国産の技術でロボットの開発を進めたい」と話している。(篠崎理)

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