ウクライナに侵攻したロシアが南部ヘルソン州に設置した統治機関「軍民行政府」は18日、同州ノバカホフカの水力発電所がウクライナ軍に砲撃されたと発表した。警備員2人が死亡したが、施設は重大な損傷を免れたとした。露メディアが伝えた。同発電所には同日、プーチン露大統領の側近、キリエンコ露大統領府第1副長官が視察に訪れていたが、無事だったという。
ウクライナ側は7月上旬、ロシアが制圧を宣言しているヘルソン州など南部の奪還作戦を本格化させると表明。11日にはノバカホフカの露軍の弾薬庫を米国製の高機動ロケット砲システム「ハイマース」で破壊したと発表しており、18日の攻撃もハイマースの可能性がある。ウクライナ軍は最近、南部や東部でハイマースによる露軍の兵站(へいたん)破壊作戦を展開している。
キリエンコ氏は侵攻開始後、東部の親露派武装勢力の実効支配地域や露軍が占領した地域の管理を担当。攻撃は同氏を狙ったものだった可能性もある。露外務省のザハロワ報道官は14日、「米国がウクライナ軍に情報を提供し、ハイマースの攻撃目標を指示している」と主張していた。
国営ロシア通信は当初、キリエンコ氏が同発電所を視察していたと伝えたが、後に当該箇所を削除した。ただ、他の露メディアは攻撃がキリエンコ氏の発電所滞在中か、直後に行われたと伝えている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は18日のビデオ声明で「露軍は兵站の喪失により占領地域の維持が困難になっている」と述べた。
一方、露国防省は同日、ショイグ国防相が露軍司令部を訪れ、ウクライナ軍の長距離攻撃兵器の破壊を命じたと発表した。ハイマースなどを念頭に置いているとみられる。