最低賃金議論 首相の実行力占うバロメーターに

韓国の朴振外相との面会を終え、記者団の取材に応じる岸田文雄首相=19日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
韓国の朴振外相との面会を終え、記者団の取材に応じる岸田文雄首相=19日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

令和4年度の最低賃金の引き上げを巡る議論は25日にも決着する見通しで、国民生活を直撃する物価高に賃金の引き上げ幅がどの程度追いつくかが焦点だ。岸田文雄首相はできる限り早期に全国加重平均で時給1千円以上にすることを目指しているが、大幅な賃上げは企業の経営体力を奪う副作用も伴う。労使双方に大きな影響を与えるだけに、結果次第では首相の政権運営に直結する可能性がある。

最低賃金は近年、新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けた一昨年を除けば、対前年度比で3%程度(同25~28円増)の引き上げが続いている。

一方、今年4、5月の実質賃金は物価の伸びに賃上げが追いついていない影響で2カ月連続で下落した。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化で今後も物価上昇は続き、賃金はさらに目減りするとの懸念は強い。労働者側は大幅な引き上げに期待する。

ただ、政府・与党内には首相から賃上げにかける熱量があまり伝わってこないとの指摘もある。安倍晋三、菅義偉両政権が経済界に賃上げの大号令をかけたのと違い、首相は「賃上げを持続させていくことが重要」(14日の記者会見)としつつ、最低賃金を議論する審議会に委ねる考えだからだ。先の参院選でも「1500円」とした立憲民主党や共産党などと一線を画し、自民党は具体的な金額は示さなかった。

政府・与党内からは賃上げを巡る首相の対応に対し、「中小企業の経営が賃上げで圧迫され、雇用削減や景気失速を恐れている」(内閣官房関係者)「どう成長力を高めるかの議論に乏しい。賃上げへの本気度は50%程度だ」(自民厚労族)との声が出ている。

首相が掲げる「新しい資本主義」では「成長の果実をしっかりと分配することで初めて次の成長が実現する」(首相官邸ホームページ)としている。賃上げの結果は首相の実行力を占うバロメーターになりそうだ。(村上智博)

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