10日投開票された参院選に党の存亡をかけて臨んだ国民民主党は、改選7議席に対して獲得が5議席にとどまった。玉木雄一郎代表の責任論や「解党論」が出てきても不思議ではないが、現在党内でそうした声は聞かれない。玉木氏はすでに来春の統一地方選を見据えている。与党との連携も辞さない新たな野党像を模索する国民民主は、首の皮一枚で生き残ったといえる。
「比例代表の得票数は昨年の衆院選から増えている。それはそれで評価すべきだ」
投開票から一夜明けた11日、支持団体の連合を訪れた玉木氏は、参院選の結果を記者団にこう自負してみせた。
国民民主が今回、比例で獲得したのは約316万票で、昨秋の衆院選の約260万票から50万票以上増やした。比例で目標とした連合の組織内候補4人の当選はできなかったが、11日未明になって組織内候補3人目の当選確実が報じられると、国民民主は歓喜にわいた。事前の情勢調査では比例の当選が2人にとどまるとの分析もあったからだ。
当選が危ぶまれていた愛知選挙区(改選数4)でも現職の伊藤孝恵氏が4番手に滑り込み、党関係者は「何とか生き延びた」と胸をなでおろした。
こうした結果を受け、14日に国会内で開いた執行役員会でも執行部の責任論が話題になることはなく、早期に参院選の総括をまとめる方針を確認した。
国民民主の戦いぶりには、野党第一党の立憲民主党幹部も注視していた。国民民主が大敗して解党に至れば、連合系の議員を再び糾合できるとそろばんをはじいていたからだ。この幹部は「連合の股裂きを解消できると思ったのに」と残念がる。
もっとも、国民民主が今回の参院選で議席を減らした事実は変わらない。政策実現を掲げて与党への接近も辞さない玉木氏に対し、前原誠司代表代行は日本維新の会との連携を志向するなど、路線対立の火種もくすぶる。次の統一地方選や次期衆院選など、大型選挙のたびに試練を迎える状況は続きそうだ。(大橋拓史)