日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)の辞意表明で「ポスト松井」を巡る動きが本格化する。8月中にも結党以来初の代表選が行われる見通しだ。地域政党から国政に進出して10年。「第三極」路線を牽引(けんいん)してきた創業者の松井氏は後継指名しておらず、誰がその座に就いても挙党態勢の構築は容易ではない。
今月14日、大阪市内の党本部で開かれた常任役員会。冒頭で松井氏は、「組織として決まったことに従って代表を支える。そのことを肝に銘じてもらいたい」と、代表選後を見据えてくぎを刺した。
記者団に真意を問われた松井氏は、議論の過程で意見が割れても「最終的には一致団結する」ことが維新存続のポイントだとした。自民党の大阪府議だった松井氏が会派を飛び出して維新を結成したのは、府庁舎の移転を巡る会派方針への造反者が大量に出て議案が否決されたことがきっかけだ。何が組織解体のトリガーとなるか、松井氏は身をもって知っている。
「余人をもって替え難い」(維新関係者)と評される絶対的存在。橋下徹前代表と、有権者目線の「敵」を作っては対決を挑み、存在感を際立たせる「けんか民主主義」で支持を拡大してきた。橋下氏引退後、存亡の危機もささやかれた「雌伏の時」も、その豪腕で乗り越えた。
一昨年以降は新型コロナウイルス対応で「全国区」の評価を得た吉村洋文副代表(大阪府知事)を前面に押し出し、世代交代を図ってきた。だが、吉村氏は早々に代表選不出馬を明言。若手からは「刷新感を打ち出せる」と期待感があるが、「次の次」が妥当と目されているようだ。