多額献金に合同結婚…「信仰二世」が語る苦悩と事件

旧統一教会の信者が購入した教本や壺など。信者は同様の教本に3千万円を支払うこともあったという =大阪市北区
旧統一教会の信者が購入した教本や壺など。信者は同様の教本に3千万円を支払うこともあったという =大阪市北区

山上徹也容疑者ら3人兄妹は、母親が旧統一教会に献金を繰り返し、活動にも傾注したことから、食べるものにも事欠くほど困窮していたという。伯父の援助を受けて成長したが、家族は離散した。教会への恨みが犯行につながったとみられている。親の影響で自らも入会した「信仰二世」が取材に応じ、その苦悩を語った。

首都圏に暮らす40代の女性会社員が、統一教会に入会したのは高校生の時だった。両親の関係が悪く、父親の言葉の暴力や借金に悩む信者だった母親の姿を見て入会を決めた。「信仰する姿を母に見せれば喜んでもらえる」。そう考えた。

最初は、母親のためだったが、次第に自らもすがるようになった。21歳の頃には「修練会」と呼ばれる数週間の集中合宿にも参加。午前5時から祈禱(きとう)を行い、深夜まで一日中講師から教義についての教えを受けた。

1回当たり140万円をつぎこみ教会内で「祝福」と呼ばれる合同結婚も2度経験した。2人とも結婚相手は韓国人だった。ただ暴力や生活能力の欠如に苦しみ、いずれも夫婦生活は長くは続かなかった。

上部信者からは「乗り越えなければこの苦しみが子孫に引き継がれる」と言われ、教会で悪とされる「サタン」を持ち出しながら説かれた。恐怖を覚えた。

そして事あるごとに献金を求める環境を目の当たりにするうちに不信感が募り平成25年に脱会した。結婚生活を送っていた韓国から戻った日本では、多額の献金を重ねた母親が自宅を追い出され、姉の元に身を寄せていた。

その母親の存在が重荷となった。母親の信仰はまだ続いており、教会への復帰を強く求め「早くサタンがいなくなりますように」と祈っていた。2人の娘を礼拝に連れて行くことも。結局、母親とは絶縁。信仰を嫌っていた妹もすでに音信不通で、家族は離散した。「人生を破壊された」と思っている。

山上容疑者の教会との関係が報じられ、自身の記憶がよみがえった。「(信仰の過程で)帰れる実家や友人も失った」。脱退し、母親と音信を絶った後は頼れる相手や場所もなく、深夜に「いのちの電話」へ悩みをぶつけたこともあった。

山上容疑者の犯行は許されるものではないと思う。「相談し受け入れてくれる人を見つけていれば、犯行に及ばなかったかもしれない」と語った。

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