習近平氏、8年ぶり新疆視察 党大会前に成果誇示

中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ市を視察に訪れ、市民らに手を振る習近平国家主席=13日(新華社=共同)
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ市を視察に訪れ、市民らに手を振る習近平国家主席=13日(新華社=共同)

【北京=三塚聖平】中国国営中央テレビは15日、習近平国家主席が12~15日に新疆(しんきょう)ウイグル自治区を視察したと伝えた。習氏が新疆を訪問するのは約8年ぶり。前回視察時には爆発事件が発生し、習政権は治安対策として少数民族ウイグル族への統制を強化してきた。習氏の長期政権を目指す今秋の中国共産党大会を前に、新疆が安定したという〝成果〟を国内外に誇示する狙いとみられる。

習氏は、区都ウルムチ市や石河子市、トルファン市を訪れ、大学や博物館、世界文化遺産などを視察した。少数民族の住民が95%超を占めるというウルムチの居住地域を訪れた習氏は、「新疆の各民族は、中華民族大家庭の不可分のメンバーだ」と強調した。中国当局は、各民族が中華民族を形成していると主張し、事実上の同化政策を推進している。

中国政府は、新疆で経済的な発展が進んでいるとし、共産党の指導下で進める統治の正当性を主張する。習氏は中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」の拠点を視察した際、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の推進により、「新疆が閉じられた内陸から対外開放の前線に変わった」と胸を張った。

習氏は、地元政府幹部らを前にした場で、新疆に関する業務について「全党、全国に関わる重大なことだ」と力を込めた。

習氏の新疆視察は2014年4月以来。当時の視察最終日には、ウルムチの鉄道駅で爆発事件が発生。多数の死傷者も出て、当局はテロ事件と断定した。

同事件は、新疆で「テロ対策」を名目にウイグル族への「再教育」など強権的な同化政策を推進するきっかけの一つとなった。新疆での強権統治は、米欧との対立を激化させる要因にもなっている。今年5月にはバチェレ国連人権高等弁務官が新疆を訪問したが、中国はバチェレ氏の訪中を宣伝工作のため、積極的に活用している。

習政権は、今回の訪問を通じて共産党による統治が地元住民に歓迎されているというイメージを強調した。中央テレビは、少数民族の住民が時折涙を流しながら習氏の話を聞いている様子を放送。習氏が新疆を離れる際に「各民族の人々が熱烈に見送った」と伝えた。ウルムチなどでは多くの警察が配置されて住民管理が徹底されているが、そうした様子は映像からはうかがえない。

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