匿名SNSで計画やり取り 「恨み晴らし代行」男に懲役8年判決

東京地裁
東京地裁

東京都足立区のアパートで昨年8月、住人の40代男性を刃物で刺したとして殺人未遂罪に問われた無職、小西昴太(こうた)被告(22)の裁判員裁判判決公判が14日、東京地裁で開かれた。坂田威一郎裁判長は「報酬欲しさに見ず知らずの被害者の殺害を引き受けた。人命軽視の態度が甚だしい」などとして懲役8年(求刑懲役9年)を言い渡した。

小西被告は交流サイト(SNS)で見つけた「恨み晴らし代行」の仕事に応募。被害者の妻、滝田深雪被告(44)=殺人未遂罪で起訴=から50万円の報酬で依頼を受け、友人の酒井亮太被告(22)=同=を誘って犯行に及んだ。

弁護側は、犯行前に受け取る約束だった報酬を受け取っておらず「共謀は成立せず、殺人未遂罪には当たらない」と主張したが、坂田裁判長は「報酬先払いの約束は犯行計画の根幹をなす要素ではない」と指摘。共犯者と連絡を取りつつ凶器を準備するなど、小西被告が「殺害の計画立案を主導した」と結論付けた。

判決によると、小西被告は滝田、酒井両被告と共謀し昨年8月7日未明、男性の胸を刃物で刺して殺害しようとした。男性は全治約1カ月の重傷を負った。

殺害方法をネット検索

妻がSNSで夫の殺害を依頼するというショッキングな事件。公判では周到に計画された犯行の経緯が明らかになった。

「死ぬカビ」「検出されない毒」「殺人依頼 下請け」「殺し屋 探し方」… 夫に秘密で1千万円に上る借金を抱え、夫にばれて家計を管理されるようになったことに不満を募らせていたという滝田深雪被告の携帯電話には、こんな検索履歴が残されていた。

滝田被告は、ツイッターを通じて夫の殺害を依頼。応じた小西昴太被告に対し、50万円の報酬を提示した。「人を殺さなくてはならず、少しためらいがあった」。被告人質問で小西被告はこう話しつつ、「50万円は大金に思えた」と語った。

友人の酒井亮太被告を犯行に誘った小西被告は、メッセージが一定時間後に消える通信アプリ「テレグラム」を使い、報酬や犯行方法について、滝田被告とやり取りを重ねた。ナイフやオノ、帽子、手袋を準備し、殺害後は遺体を車で海に運ぶ計画も練った。

計画実行の日。「今日の夜中、旦那が疲れていそうだからできるかもしれない」「鍵は開けときます」。滝田被告から連絡を受け、小西被告は酒井被告と現場へ。部屋に忍び込み、眠る男性の胸に、酒井被告がナイフを振り下ろした。

だが、目を覚ました男性は胸に傷を負いながら必死に抵抗。2人は逃走した。男性はそばにいた滝田被告に「(通報のため)交番に走れ」と叫んだというが、突然の凶行の背後に妻がいたことは、知る由もなかった。

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