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(228)サプリはよく考えて

近年、あらゆるサプリメントを目にするようになりました。過不足なく栄養がとれていると自信をもって言える人は少なく、何か足りないのでは、などと言われると不安になるものです。その傾向は中高年になると強まるようで、調査によると、日本人で中高年の女性の3人に1人、男性の4人に1人は何かしらのサプリメントを摂取しているそうです。

高血圧などで通院している70代の女性患者さんから、「私は何のサプリメントをとるべきでしょうか」と聞かれました。しかし、特別に必要そうなものは思いつきません。なぜ始めたいのか聞いてみると、「何となく健康になる気がして」というお返事でした。

サプリメントをとる目的の大半は健康のためで、病気の予防、疲労回復や体調の改善、ひいては寿命が延びることにつながることを期待するのでしょう。日本人中高年の死因はがん、心疾患、脳卒中が半分以上です。サプリメントに、がんや心血管病の予防効果があれば、寿命を延ばすことにもつながることでしょう。

米国予防医学作業部会(USPSTF)ではサプリメントの効果などを精査して、どういったものが推奨されるか、されないかを公表しています。

それによると、妊婦を除く一般成人では現時点でビタミンやミネラル、マルチビタミン、それらを含む栄養剤の摂取が心血管病やがんを予防するという十分な証拠は得られていないと結論されています。また、ベータカロテンとビタミンEは肺がんや脳出血などの危険性を高める可能性があるため推奨されないとされています。

妊婦やその可能性のある女性に対する葉酸のサプリメントは胎児の奇形予防のために必要ですし、菜食主義の人にはいくつかのビタミンやミネラルが必要となります。しかし一般的には健康で長生きしたいと考えたとき、サプリメントはほとんど役には立たないのでしょうし、ものによっては逆効果であるということです。

医師から何かが足りないと指摘されたのであれば、それが真実である可能性は高いですが、広告や友人から言われて、なんとなく足りない気がするという感覚は当てにはなりません。この女性患者さんにも、今のところサプリメントは必要なく、今まで通りいろいろなものをおいしく食べて過ごすようにお話ししました。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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