【エネルギー対策・物価高対策】
第2に国民生活に大きな影響があるエネルギー対策と、物価高対策です。
まず、エネルギーの安定供給確保です。この夏の電力供給については政府からの要請も踏まえ、関係の皆さんのご努力により、全国で10以上の火力発電所の運転が次々と再開し、電力の安定供給を確保する見通しが立ちました。熱中症も懸念されるこの夏は、無理な節電をせず、クーラーを上手に使いながら、乗り越えていただきたいと思います。
しかしながら、この冬については、再度、需給ひっ迫が起こることが懸念されています。何としても、そうした事態を防いでいかなければなりません。
私から経済産業相に対し、できる限り多くの原発、この冬で言えば、最大9基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保するとともに、ピーク時に余裕を持って安定供給を実現できる水準を目指し、火力発電の供給能力を、追加的に10基を目指して確保するよう指示しました。これらが実現されれば、過去3年間と比べ最大の供給力確保を実現できます。政府の責任において、あらゆる方策を講じ、この冬のみならず、将来にわたって電力の安定供給が確保されるよう全力で取り組みます。
次に物価高騰です。今回の物価高騰は、ロシアのウクライナ侵略がもたらした世界的な問題であり、各国とも大幅な物価高に直面しています。
そうした中で、先般の先進7カ国首脳会議(G7サミット)において、G7が団結してこの困難を乗り越えていく決意を共有し、ロシア産原油を一定の上限価格以上では買わない、買わせないための仕組みを作ることや、世界の食料庫といわれるウクライナの小麦輸出を再開させるさまざまな支援措置などについて一致いたしました。
こうした国際社会の動きは、例えば、足元で小麦の先物価格がウクライナ侵略後のピーク時より約4割下落するなど、国際商品市場に好影響をもたらしつつあります。
国内においても、物価上昇が国民生活に大きな影響を与えていることを重く受け止め、地域の実情に応じたきめ細かな支援や、物価上昇のほとんどを占めるエネルギーや食料に集中して対策を講じています。
引き続き、世界レベルから地域レベルの取り組みまで、切れ目なく、しっかりとした対策を実施し、国民生活を守り抜いていきます。明日、第2回「物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、経済・物価の現状と対応策について議論を行います。
まず、地域の実情に応じたきめ細やかな支援を行っていくことが重要です。1兆円の地方創生臨時交付金を活用し、個人向けに低所得者への給付金の上乗せ、給食費支援、ヤングケアラーに対する配給支援、事業者向けに電気料金などの高騰に対応するための地場産業支援金や、水産・施設園芸・畜産の経営支援など、さまざまな対策を講じていきます。
政府として、引き続きこうしたさまざまな取り組みをフォローし、効果的な対応を全国に横展開してまいります。その上で、自治体の実施状況を踏まえつつ、必要に応じて地方創生臨時交付金をさらに増額し、対策を一層強化していきます。
また、エネルギー、食料品に関して前回の(対策)本部で具体化を指示した対策を早急に実行に移します。まず、電力需給ひっ迫の緩和と、実質的な電気代負担軽減の両方に対応する新たな枠組みを設けます。そして、食料品価格の上昇抑制策です。肥料コスト上昇分の7割をほてんする新しい支援金の仕組みを設けます。秋に使う肥料への影響に対応できるよう、6月にさかのぼって支援します。これらについて今月中に予備費を措置し、迅速に支援をお届けします。