賠償額13兆円「払えないのは明白」 訴訟効果に疑問の声も

東京電力本店=東京都千代田区
東京電力本店=東京都千代田区

東京地裁は13日、東京電力の旧経営陣4人に、民事訴訟で過去最大となる13兆円余りの巨額の賠償金を支払うよう命じたが、個人に支払い切れる金額ではなさそうだ。専門家からは「東電の損害が回復される見込みはない」として、訴訟の効果を疑問視する声も上がる。

今回の株主代表訴訟は、東電に代わって株主が旧経営陣に対し、東電に損害賠償を支払うよう求めるものだ。

株主代表訴訟に詳しい独協大法学部の高橋均教授(会社法)は「旧経営陣が賠償金を支払えないのは明白」として、「株主が旧経営陣を訴えるのにふさわしい事案だったのか、検討の余地がある」と指摘する。

高橋教授によると、株主代表訴訟の目的は、会社への損害回復と、賠償責任を負わせることで取締役の違法行為を抑止するという2点がある。

だが、今回は損害回復の見込みは薄い。違法行為の抑止についても、入札への参加を認めない指名停止処分を伴う独占禁止法違反などの個別行為が主に想定されているといい、高橋教授は「株主代表訴訟制度の在り方が提起された訴訟といえる」と話した。

原発事故 東電株主訴訟、旧経営陣の4人に13兆円賠償命令 東京地裁

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