東京電力福島第1原発事故を巡り、東電の勝俣恒久元会長(82)ら旧経営陣5人が津波対策を怠ったとして、東電の株主が5人に22兆円を会社に賠償するよう求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であり、朝倉佳秀裁判長は旧経営陣5人のうち勝俣氏ら4人の責任を認め、13兆円あまりの賠償を命じた。
訴訟は東電に原発事業からの撤退を求めてきた株主らが事故翌年の平成24年3月、国内の民事訴訟で過去最大とみられる賠償額を求めて東京地裁に提訴し、計62回の審理を経て結審していた。
最大の争点は、14年に政府の地震調査研究推進本部が公表した地震予測「長期評価」の信頼性。長期評価に基づき東電の子会社が20年に試算した「最大15・7メートルの津波が到来する可能性がある」とする報告に対する5人の認識や事故の予見可能性が問われていた。
これまでの審理で株主側は、勝俣氏ら当時の会長と社長は、資料を基に津波に関する試算結果の報告を受けていたと指摘。残る3人も、試算結果の報告を受け、防潮堤などの設置の必要性を認識していたにも関わらず、津波対策を先送りさせ、事故を招いたと主張していた。
一方、東電側は長期評価の信頼性には疑問があると主張。勝俣氏らに対する具体的な津波対策の報告はなかったとした上で、事故が起きるまでの対応は適正だったと反論していた。
勝俣氏ら3氏は検察審査会の議決により、業務上過失致死罪で強制起訴され、1審東京地裁は無罪判決を言い渡している。来年1月には東京高裁で控訴審判決が言い渡される。