台湾の頼清徳副総統は12日午後、東京・芝公園の増上寺で営まれた安倍晋三元首相の葬儀に「親しい友人」の立場で参列した。外交部(外務省)の欧江安報道官は定例記者会見で「副総統の私的な日程」と述べ、コメントを避けた。中国政策を巡り、日本政府に配慮したとみられる。
中国外務省の汪文斌副報道局長は定例記者会見で「安倍氏の不幸な逝去に乗じた台湾当局の政治的な思惑は成功しない」と反発した。既に日本側に厳正な申し入れをしたという。
台湾メディアによると、頼氏は11日に訪日して安倍氏の自宅を訪れて弔意を示したほか、増上寺で営まれた通夜にも参列した。1972年の日中国交正常化に伴う台湾との断交後、現職の副総統が来日したのは85年の故李登輝氏以来。
与党、民主進歩党(民進党)の立法委員(国会議員)は12日に頼氏訪日について「(事実上の)台湾の特使だ。台日関係の深さを世界に示した」と強調した。(共同)