〈投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる〉。こんなキャッチコピーで参院選に臨んだ政治団体「参政党」が10日、初めての議席獲得を確実にした。党の方向性をメンバーとともに考え、つくっていく「国民参加型政党」を標榜(ひょうぼう)。交流サイト(SNS)でも存在感を発揮し、既存政党に批判的な有権者の心をつかんだとみられる。
元大阪府吹田市議の神谷宗幣(そうへい)氏を中心に令和2年に設立された参政党。今回の参院選では全45選挙区に候補者を擁立し、比例代表5人と合わせて計50人で挑んだ。
重点政策は、①子供の教育②食と健康、環境保全③国のまもり-の3項目とシンプルだ。新型コロナウイルス対策ではワクチン未接種者の保護や副反応被害者の救済をアピールした。
また「国や地域、伝統を大切に思える自尊史観の教育」「外国人参政権を認めない」といった政策で保守色も打ち出し、自民党関係者は「保守系支持層の一部を切り崩すのではないか」と警戒していた。
既存政党に対しては「仲間内の利益を優先」「縁故者や世襲ばかり」と手厳しい。政治に関心を持ちながらも、既存政党に失望する有権者の受け皿になりたいと訴え続けた。
インターネットなどで申し込み、党員になれば、政治を学びながらイベントに参加し、意見を反映させることができる。
「『あなたが政治に参加するのだ』といわれ、それならと思って」。約2カ月前から党員となった兵庫県芦屋市の団体役員の男性(48)は入党の理由を明かす。
もう一つの特徴がSNSを駆使した選挙戦略だ。党の公式ユーチューブの登録者は、自民党の約12万9千人を上回る約19万1千人(10日正午時点)。街頭演説の生配信にとどまらず、候補者同士が政策や選挙への思いを熱く語り合ったり、党への誹謗(ひぼう)中傷をユーモアを交えて紹介したりするコーナーを設け、SNS世代も巻き込んだとみられる。
「参政党は(未開拓の市場を意味する)『ブルーオーシャン』をうまくつかんだ」。有権者意識に詳しい東北福祉大の萩野寛雄教授(政治学)は、こう指摘する。
萩野氏によると、参政党の支持層の中心は「従来の高齢世代中心の政策に対し、見捨てられてきたと感じていた若い人たち」。訴える政策も若者層との親和性が高かったと分析する。視聴者と双方向のSNSを駆使し、「有権者に参加意識が生まれたことも大きな魅力となっていた」とし、「新しい民主主義のプロトタイプ(原型)になるかもしれない」と述べた。(木下未希)
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