優等生から豹変、同級生「同じ人物か」 安倍元首相銃撃の容疑者

高校の卒業アルバムの山上徹也容疑者
高校の卒業アルバムの山上徹也容疑者

安倍晋三元首相(67)を銃撃したとして、殺人未遂容疑で逮捕された元海上自衛隊員の無職、山上徹也容疑者(41)は、奈良市内のワンルームマンションで1人暮らしをしていた。奈良市で育ち、中学や高校の同級生からは「優等生」「努力家」とも評されていた。凶行の背景に何があったのか。

「会話はいわゆる『ですます調』で丁寧。おとなしいが常識のある人だと思った」。今年5月まで約1年半、山上容疑者が勤務していた京都府内の工場の男性責任者は9日、奈良市内で取材に応じ、山上容疑者についてこう説明した。

男性によると、山上容疑者はフォークリフトの免許を持っており、令和2年10月からフォークリフトで荷物をトラックに積み込む「リフトマン」として働き始めた。時給は約1800円。遅刻や欠勤もなく、まじめな仕事ぶりだった。

ところが、採用から半年ほど過ぎたころ、仕事の手順を守らないことが目立ち「自己中心的でわがままな性格が出てきた」(男性)。今年1月には積み荷の扱いをめぐってトラック運転手と口論になったという。

「そしたらお前がやれや!」。3月には同僚が手順違反を指摘したことで激しい口論になり、同月末ごろから週に1~2回欠勤するように。「心臓の調子が悪い」などと訴え、5月15日付で退職した。

同僚との会話はあったが、趣味や経歴、家族構成などプライベートな話は口にしなかったという山上容疑者。男性は「世界を震撼(しんかん)させるような事件にまでいたるというのは、想像を超えている」と話した。

山上容疑者は奈良市内の小中学校に通い、中学ではバスケットボール部に所属。友人からは「徹也」からとった「こてつ」のあだ名で呼ばれていた。「どちらかというと、おとなしいタイプ」「勉強ができる優等生」。同級生らは印象をそう語る。

バスケ部の同級生の男性(41)は「どんなに厳しい練習でも弱音を吐かず取り組んでいたし手を抜かなかった。まじめで努力家だとみんなが思っていた」と振り返る。バスケは中学から始めたが、部では中心選手として活躍していたという。

逮捕を知り、「当時の姿と現場で地面に押さえつけられていた姿があまりにも乖離(かいり)しすぎていて、本当に同じ人物なのかと混乱している。決めたことをやり遂げる意志の強さが、災いしたのかもしれない」と複雑な心境を吐露した。

奈良県内有数の進学校である県立高校に進むと、今度は応援団に入部。甲子園に出場したこともある野球部の応援などに精を出した。卒業アルバムの自身の将来を記載する欄には「わからん。」としていた。

防衛省関係者によると、山上容疑者は平成14年8月に21歳で海上自衛隊に入隊し、17年8月まで任期制自衛官として勤務。高校の同級生の男性は「高校では文系のクラスに在籍していた。卒業後は大学に進学したと聞いていたが、自衛隊に入っていたと知って驚いた」と話す。

自衛隊を退職後は職を転々とし、今年5月に派遣会社を退職してからは無職だったとみられる。

山上容疑者は動機について、母親が宗教団体にのめり込み経済状況が苦しくなったこと、その団体と安倍氏につながりがあるとして恨んでいたと説明。山上容疑者の幼少期に近所で生活し、山上容疑者とその母親のことを知る男性(55)は「宗教にのめり込んでいるように見えなかった。今回の事件とはどう考えても結びつかない」と首をかしげた。

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