浪速風

ガクチカがなくても

ことばを扱う職業でありながら、その存在を知らずにいた表現に出くわすことが、多々ある。数年前から当たり前に使われているという「ガクチカ」がそうだった。就職活動で学生らが使う用語なのだが、自分たちの頃はこうは呼んでいなかった(はず)

▶企業へのエントリーシートや、面接で定番の質問事項「学生時代に力を入れたこと」の省略語である。略し方の大胆さに感心しつつ、自身のガクチカが何で、どう回答したかと振り返ってみたが、思い出せない。たしか「とにかく学生時代は楽しかったんだね」と聞かれ、「はい」と答えた記憶はある

▶新型コロナに自由を奪われ、思い描いた大学生活を過ごせなかった学生にとって、ガクチカは難問かもしれない。それは採用側も分かっている。たとえ明確なガクチカがなかったとしても、その余力は社会人になってから発揮すればいい。採用担当者ではないものの、学生たちにはそんなエールを送りたい。

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