燃油サーチャージ過去最高に 旅行需要回復の重荷に 新型コロナ拡大も懸念

全日本空輸と日本航空の国際線仕様の機材=羽田空港
全日本空輸と日本航空の国際線仕様の機材=羽田空港

国際線で運賃に上乗せされる燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇が止まらない。原油価格の高騰を受け、航空大手2社ともに8~9月の燃油サーチャージは過去最高に達し、ドル箱路線のハワイ便で運賃自体を上回るケースも出ている。今のところ航空会社は海外への旅客需要の回復傾向に鈍化は見られないとしているが、夏場以降も好調を維持できるか予断を許さない。

「(燃油サーチャージの高騰が)需要に影響するかは注視をしていく必要がある。恒常的に続くと消費者心理が冷えるので、考えながらプランニングする」

全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスの芝田浩二社長は7日の定例記者会見で、燃料価格の上昇が続いていることに懸念を示した。一方、現時点で当初予測を上回る需要が継続しているといい、今後の収益確保に自信も見せた。

全日空は8~9月の燃油サーチャージを引き上げ、日本から欧州・北米などに行く旅客便では、現行より1万円以上高い過去最高となる4万9千円(片道)が運賃に上乗せされる。

日本航空も同条件で過去最高の4万7千円まで引き上げる。同社の場合、人気のハワイ便は燃油サーチャージが3万500円で、同期間の最安値運賃(エコノミークラス)は7日現在で往復5万5千円となるため、往復では燃油サーチャージの方が高額となる。

両社が燃油サーチャージの額を設定するにあたっては、アジアの石油製品取引の中心であるシンガポール市場の相場を基準とする。その燃料価格を両社がそれぞれ策定した価格表に当てはめ、対照する燃油サーチャージの額を設定する。

新型コロナウイルス禍で航空需要が落ち込み、昨年5月までの1年間近くは燃油サーチャージがかからなかったが、主要国の経済再開に伴って急増した航空需要に、ロシアへの経済制裁が拍車をかける形で燃料価格は急騰。航空大手2社ともに現行の6~7月の設定額は従来の価格表で想定していた上限だったが、価格表を見直して対応した。

旅行大手のHISによると、水際対策の緩和で旅行需要の回復は堅調ながら、燃油サーチャージが上がる前の駆け込み予約に加え、旅行を取りやめる動きも出ているという。別の旅行大手は「ここまで値上がりすると、『別に旅行は今じゃなくてもいい』となってしまう」と今後の客足への影響を懸念する。足下で新型コロナ感染が再拡大傾向にあるのも不安要素で、HISの担当者は「水際対策の再強化につながれば影響は大きくなるだろう」と話す。

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