にほんの村

ゆいまーるが生きていた 沖縄県読谷村

ハーリーに使われる舟「サバニ」には村内の地名などが書かれている
ハーリーに使われる舟「サバニ」には村内の地名などが書かれている

沖縄県読谷(よみたん)村。澄んだ海と白い砂浜、濃い緑の木々が周辺を彩る。ここは人口4万人を超える日本最大の村だ。なぜか人々はここに集い、離れない、という。

夕食を囲むやちむんの里・北窯の松田共司さん(左上)と県内外から集まった6人の弟子。使われる食器は工房の作品だ
夕食を囲むやちむんの里・北窯の松田共司さん(左上)と県内外から集まった6人の弟子。使われる食器は工房の作品だ

訪れた日は、コロナ禍で3年間休んでいた「ハーリー」があった。ハーリーは伝統的な漁舟・サバニにチームで乗り込んで競漕(きょうそう)を繰り広げる行事。海の安全や豊漁祈願の意味もある。有名な糸満や那覇のハーリーは観光の意味合いが強いが、読谷は村民と村の関係者限定だ。

3年ぶりに開催されたハーリー。村の大イベントを祝うかのように晴れ間が広がった=6月5日、沖縄県読谷村
3年ぶりに開催されたハーリー。村の大イベントを祝うかのように晴れ間が広がった=6月5日、沖縄県読谷村
力を合わせて漕ぐ村の高志保自治会チーム。今年はほとんど練習もできなかったというが、5連覇を果たした
力を合わせて漕ぐ村の高志保自治会チーム。今年はほとんど練習もできなかったというが、5連覇を果たした
船頭が打ち鳴らす鐘を合図にいっせいに櫂をこぐ
船頭が打ち鳴らす鐘を合図にいっせいに櫂をこぐ

梅雨時で前日まで激しい雨が続いた。が、朝になるとぴたりとやんだ。

「カーン、カーン」。鐘の音に合わせ、舟に乗り込んだ村民たちがいっせいに櫂(かい)を海に突き刺し、漕(こ)ぐ。しぶきにまみれ、必死の表情だ。リズムがそろいだすと舟は波を切って進みだした。浜からは人々の声援が飛ぶ。誰もかれも表情は明るい。

6月初旬、登り窯に作品が次々と運び込まれ火入れの準備が進められていた
6月初旬、登り窯に作品が次々と運び込まれ火入れの準備が進められていた
役割を分担して作業する松田さんの弟子たち
役割を分担して作業する松田さんの弟子たち
真剣なまなざしでろくろを回す松田さん
真剣なまなざしでろくろを回す松田さん


足を延ばし、窯元が集まる「やちむんの里」へと向かった。やちむんとは沖縄方言で「焼き物」のことだ。奥に4工房が共有する北窯の登り窯があり、ちょうど年4回の「火入れ」の前だった。火入れが始まると、それぞれの工房の陶工が交代で約4日間、火を見守る。

作業には親方や弟子たちとの連携がかかせない。だから、忙しくても皆で食卓を囲んで食事をする時間が必ずあるという。工房の親方、松田共司さん(67)は「(食事時間は)信頼関係を築くために、仕事と同じくらい大事」という。

ハーリーと北窯に共通するのは、助け合いや結びつきを意味する沖縄でいう「ゆいまーる」だ。ゆいとは「結(ゆ)い」で、まーるは「回る」。長い間、助け合って育まれてきた心のつながりは、村民をひきつけて離さないようだ。

(写真報道局 鳥越瑞絵)

【沖縄県読谷村】平成29年村魚がジンベエザメに制定された。ハーリーが開催された北西部の宇座海岸にはウミガメが産卵に訪れる〈面積〉約35.28平方km
〈人口〉41864人
【沖縄県読谷村】平成29年村魚がジンベエザメに制定された。ハーリーが開催された北西部の宇座海岸にはウミガメが産卵に訪れる〈面積〉約35.28平方km 〈人口〉41864人


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