参院選

混戦の兵庫 維新勢い、自公ぎくしゃく

オブジェの下の日陰に入り街頭演説を聞く聴衆ら=7日、神戸市中央区(南雲都撮影)
オブジェの下の日陰に入り街頭演説を聞く聴衆ら=7日、神戸市中央区(南雲都撮影)

参院選兵庫選挙区は3議席をめぐって自民、立憲民主、公明、日本維新の会の4党を軸に過去最多13人が混戦を展開。なかでも兵庫県内で勢いを増す維新の存在が、自公の協調関係にかすかな不協和音を生じさせている。自民内部でも来春の統一地方選や今後の国政選挙をにらんだ思惑が交錯する。

「この大激戦区、兵庫県を勝ち抜くよう、みなさんの力で押し上げていただきたい。私からも自民党からもお願いをさせていただきたい」。7日午後、神戸・元町の大丸神戸店前。公明現職の伊藤孝江(54)の応援に駆けつけた首相(自民総裁)の岸田文雄はこう訴え、自公協調を演出した。

直前に臨んだ自民現職、末松信介(66)の応援演説と比べ、ほぼ同じ時間と熱量で伊藤支援を呼びかける岸田の姿に、公明関係者は「もうひと頑張りできる」と気合を入れ直した。

伊藤は兵庫の改選数が1つ増えた平成28年参院選で自民の支援を受け、2位で初当選。3年前の参院選でも公明は新人が議席を得たが、自民は公明を下回る3位。次点の立民に約3万票差まで迫られた。この結果が20年以上続いてきた自公の協力関係に影を落とす。

自民県連内でも、自身の選挙で公明と競合する地方議員は、共闘に後ろ向き。県連内では伊藤への推薦見送り論が強まり、自公の相互推薦の手続きが一時、暗礁に乗り上げる一因に。最後は党本部主導で落着したが「簡単に容認できる話ではない」(自民県議)と不満は根強い。背景にあるのは維新への警戒感だ。

昨年の衆院選で県内の比例代表得票数は自民の約67万票に対し、維新は約78万票。「維新の存在感が増しており、参院選でも負けたら統一選に響く。公明に回せる票はない」。ある県連幹部は本音を明かす。

ただ国会議員との間では温度差も。昨年衆院選で自民と維新が争った県内9選挙区のうち、自民は8選挙区で維新を上回ったが、2選挙区で維新との得票差は1万票を切り、公明の組織票頼みという自民候補が少なくないのだ。

一方、公明にとって選挙区勝利は必須。過去2回の参院選で、いずれも当選ラインとされる50万票以上を得たが、昨年衆院選の県内比例票は約30万票。過去2回と同様、自民票が不可欠となる。支持母体である関西の創価学会関係者は「(改選)1人区ではこちらが協力するので、兵庫で協力してもらうのは当然。持ちつ持たれつだ」と強調する。

自民の支援を受ける伊藤を猛追するのが、立民新人の相崎佐和子(49)。代表の泉健太は来援時、与党だけでなく、防衛費増額を主張する維新もやり玉に挙げた。ただ立民には維新の浸透を期待する思惑ものぞく。維新が保守票を切り崩せば「自民から公明に回せる票が減る」(陣営関係者)として、立民に有利に働くとの算段だ。

一方、維新現職の片山大介(55)は物価高対策などをめぐり、「今の政権は何をするのも遅い」と批判。序盤には代表の松井一郎(大阪市長)が応援に入ったものの、それ以降は着々と築き上げている地方組織などをフル回転させ、地元中心の選挙戦を展開している。

兵庫選挙区には共産新人の小村潤(46)やNHK党の新人、速水肇(37)、山崎藍子(37)、中曽千鶴子(60)らも立候補している。(敬称略)

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