野党分裂も立民猛追 宮崎、自民は組織戦で対抗

集会に参加し、拳を突き上げる支持者=1日、宮崎県小林市
集会に参加し、拳を突き上げる支持者=1日、宮崎県小林市

終盤に入った参院選(10日投開票)の宮崎選挙区(改選数1)では、先行していた自民党現職を立憲民主党新人が猛追している。九州屈指の「保守王国」とされる宮崎。自民は3期18年の実績を強調し、党組織や支持団体による組織戦で逃げ切りを図る。立民は野党が分裂したものの、昨年の衆院選で議席を獲得した勢いで、党幹部を投入し攻勢を強める。

宮崎市から車で西へ約1時間。県南西部に位置し、農業が盛んな小林市で1日、自民現職の松下新平氏(55)は、農業関係者ら約200人を集めた集会で訴えた。

「消費税を下げるとか、聞き心地の良いことばかりいっている。国民をばかにしている」

演説は、物価高対策など立民が掲げる政策への批判が中心で、旧民主党政権時代に宮崎で発生した口蹄(こうてい)疫の対応で混乱した過去にも言及し、語気を強めた。

集会には、松下氏と同じ自民の谷垣グループに所属する遠藤利明選対委員長が駆け付け「新平ちゃんは一番大事な弟分」と支持を呼び掛けた。

残る後遺症

松下氏が立民への批判を強めるのは、危機感の裏返しともいえる。

4期目を目指す松下氏は、県内最大の政治団体「県農民連盟」など約250の企業・団体の推薦を受け、組織による「総力戦」(松下氏)を仕掛ける。

しかし自民には昨年10月の衆院選の後遺症が残る。宮崎1区では、不祥事を起こした自民候補の公認をめぐり県連が混乱。元自民県議が無所属で出馬し、県連は分裂した。自民候補は比例で復活当選したものの、選挙区では立民候補に敗れた。

陣営幹部は「衆院1区を奪われたのは大きい。今回の参院選で迫られるきっかけになってしまった」とみる。週刊誌でスキャンダルが報じられたことなども影響し、松下氏の支持離れも進んだという。関係者は「公明党支持者からも『選挙区は立民に投票する』という声もある」と漏らす。

遠藤氏は「なかなか厳しい選挙だ。実際に物価が上がっている中で『自民党は何をやっているんだ』といわれる」と危機感をあらわにする。

幹部てこ入れ

「今の政治が私たちの声を聞いていれば、物価高をこんなに長く放置しているはずがない」

立民新人の黒田奈々氏(48)は1日、宮崎市の県庁前でマイクを握り、約100人の聴衆に向かって叫んだ。この日は泉健太代表も初めて宮崎入りし、「今、急速に追い上げている。どんどん輪が広がっている」と声を張り上げた。

黒田氏は元NHK宮崎放送局の気象キャスターで、高い知名度を誇る。政府による物価高対策の批判を繰り返し、浮動票の取り込みを狙う。予想以上の激戦に、泉氏や西村智奈美幹事長ら党幹部が続々と応援に入り、てこ入れを図る。

宮崎選挙区では、立民と国民民主党が一本化に向けて協議を進めていたが決裂。国民は新人の黒木章光氏(45)を擁立、共産党も新人の白江好友氏(33)を立て、野党は分裂した。

昨年の衆院選では「反自民」を旗頭に立民、国民、共産の3党が協力し、県内3小選挙区で候補をすみ分けた。1区で立民候補が当選し、2区でも国民候補が比例で復活当選した。

共闘によって、それまで衆参ともに自民が議席を独占していた保守王国に風穴を開けた一方、両党とも今回の参院選をさらなる党勢拡大の足掛かりにしたい思惑もあり、分裂は避けられなかった。

立民、国民両党の支持団体「連合宮崎」は黒田、黒木両氏を「支持」する。国民は政府の予算案に賛成するなど「与党寄り」の姿勢が、従来の支持層に忌避され広がりを欠く。黒田氏陣営幹部は「国民に近い民間労組も立民になびいている」と明かす。

とはいえ、分裂による野党票の分散は無視できない。立民県連幹部は「厳しいことに間違いはない。最後に追い越すことができるか」と話す。

自民が踏みとどまるのか、王国の瓦解(がかい)が進むのか-。最終盤まで激しい選挙戦が続く。(小沢慶太)

参院選2022 宮崎選挙区の候補者一覧

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