太陽表面の異常爆発「太陽フレア」による大規模な通信障害などのリスクに備える「宇宙天気予報」に注目が集まりつつある。総務省の検討会が6月にまとめた太陽フレアの初の被害想定は2週間にわたる影響を指摘、リスク低減に向けて太陽活動の観測を応用する宇宙天気予報の官民活用の重要性が示された。巨大な太陽フレアが起きた最悪の場合、世界の経済損失は8兆円を超えるとの見方もあり影響は大きい。
■日本では34年前から
スマートフォンや放送、衛星利用測位システム(GPS)から、ドローンや車の自動運転などの最新技術まで、電波の利用範囲が拡大を続ける中、その暮らしのインフラを脅かす自然災害リスクとして近年、急速に注目を集めているのが太陽フレアが引き起こす宇宙天気現象だ。
太陽フレアが発生するとエックス線などの強い放射線や電気を帯びた粒子を放出し、規模が大きいと地球の磁場が乱れる「磁気嵐」などが起きる。宇宙天気予報は太陽活動を観測、磁気嵐などについて予測し、影響が出る場合は予報として注意を促すものだ。国内では国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の前身組織が1988(昭和63)年に開始している。