埼玉県議会で7日、最大会派の自民党議員団が提出した性的少数者(LGBTなど)への理解増進を図る条例が賛成多数で可決、成立した。8日にも施行する。
条例は「性的指向または性自認を理由とする不当な差別的取り扱い」の禁止を掲げ、LGBTカップル向けの「パートナーシップ制度」の整備などを県に求めている。事業者に対しては「性の多様性に配慮した取り組み」や県の施策への協力を促す。
条文に「差別的取り扱い」の定義が明示されていないことから、女性の権利侵害などを招きかねないとする慎重論も根強く、自民党会派の一部議員は採決を棄権した。自民党は昨年、同様の趣旨の法案の国会への提出を目指したが、党内保守派の懸念を背景に意見調整が難航し、提出を見送った経緯がある。
採決に先立つ討論では、第二会派「無所属県民会議」の井上航県議が反対の立場から「県民の不安や心配に慎重に応えながら進めるべきだ。今回の提案は県民置き去りだ」と述べた。
立憲民主党系会派「埼玉民主フォーラム」の辻浩司県議は賛成の立場から「誰もが自分自身の性と体を肯定して生きられる社会のために条例の制定が必要だ」と強調した。