「私が保証する」…森鷗外の直筆広告文見つかる

森鷗外直筆の史伝三部作出版の広告文
森鷗外直筆の史伝三部作出版の広告文

今年没後100年の文豪、森鷗外(1862~1922年)が晩年に著した「渋江抽斎」など史伝三部作について、「著者の私が保証する」などとした広告文の直筆原稿が見つかった。春陽堂書店(東京都中央区)が7日会見、発表した。鷗外の広告文執筆は他の作品でもあるが、直筆原稿が見つかるのは初めて。

春陽堂書店「Web新小説」の岡﨑成美編集長によると、昨年末から同社倉庫の保管資料を整理する過程で封筒を発見。中には「森林太郎著」と「伊澤蘭軒」「渋江抽斎」「北条霞亭」の書名に続き、広告文とみられる文章などが書かれた和紙2枚があり、鷗外研究の第一人者、山崎一穎(かずひで)・跡見学園理事長が、鷗外の直筆であることを確認した。

山崎理事長によると、この広告文が書かれたのは、同書店が史伝三部作の刊行を目指していた大正10年10月ごろとみられる。その後三部作が刊行されないまま鷗外は翌11年7月に死去。広告文は同年8月に同社の文芸誌「新小説」の鷗外追悼号に掲載されていた。

広告文では、作品の執筆経緯を紹介。冒頭は「右森氏ガ…」などと第三者の立場だが、最後には「一ノ浮泛(ふはん)ノ字句ナキハ著者ノ敢テ自ラ保証スル所ナリ(一字一句忽(ゆるが)せにしていないことは、著者である私が自信を以て保証する)」と表明。

山崎理事長は「史伝という新しい形の作品への思いが噴き出し、『私』が顔を出した。修正の跡など筆遣い、文章を直す苦労もうかがえる」などと話した。

史伝三部作は、江戸後期の医師や儒学者3人の伝記。大正5年から東京日日新聞、大阪毎日新聞などで順次連載された。

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