マスターズ27年開催へ 機運低下や負担増大の懸念も 迫られる発想の転換

延期されていた生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ(WMG)2021関西」が、令和9(2027)年に開催される見通しとなった。国内組織委員会の求めていた26年案からはさらに1年遅れることとなり、大会を支える企業の盛り上がりへの機運を低下させ、 事務局維持のための負担増大にもつながる懸念もある。ただ、2025年大阪・関西万博の開催後、その後見込まれる統合型リゾート施設(IR)開業までにWMGが開かれれば、関西を国際社会に継続的にアピールすることはできる。知恵を絞り、開催への機運を維持する取り組みが求められている。

「協賛金は全額支払っており、返還を求めることも困難だろう。新たな会期をめぐっては、組織委の決定に任せるしかない」。あるWMGのスポンサー企業関係者は、延期が続く現状に〝打つ手がない〟という思いを吐露した。

新型コロナウイルス禍で、海外からの参加者の入国や国内での移動がままならず、組織委は昨年秋に、当初予定していた21年から5年後となる26年の開催計画を打ち出していた。WMGの地域大会などが25年まで連続して開催されるため、直後の26年に開催したいという思惑があった。結局、25年の台湾での大会からの期間が短すぎるとの理由で、主宰する国際マスターズゲームズ協会(IMGA)が難色を示し、さらに1年遅れることとなった。

いずれにせよ長期延期が確実となるなか、WMGの大会準備では多くの混乱が起きていた。相次ぐ延期で、協賛金を拠出したスポンサー企業の多くは、当初見込んでいたPR効果をほとんど得られていない。ある企業は「WMGの参加者を当て込んで計画していた事業は、まったく実現できなかった」と打ち明ける。一部には「スポンサーを降りたいという動きもある」(組織委関係者)という。

大会までの準備期間が大幅に伸びるなか、組織委は自治体や企業からの追加の資金支援は求めていない。限られた資金で事務局などを長期運営せざるを得ず、約50人だった事務局の規模も「8人に縮小した」(組織委関係者)。

ただ、WMGの27年開催は、25年の大阪・関西万博、さらに29年ごろが見込まれるIRの開業をつなぐ時期にあたる。欧米からの参加者が多いWMGは、アジア以外の地域からの訪日客の引き入れを苦手とする関西にとり、貴重な機会にもなりうる。組織委は、それらのメリットを改めて検証し、成功に向けた長期戦略を練り直す必要がある。(黒川信雄)

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