国内で絶滅したとされていた水生昆虫「キイロネクイハムシ」を京都大の研究者が琵琶湖で発見し、日本昆虫学会の英文誌に掲載された。2日付。国内での生息確認は60年ぶりで、論文をまとめた同大の曽田貞滋(ていじ)教授は「他の絶滅種も人知れず生き残っているかもしれない」と話す。
キイロネクイハムシは体長4ミリほどの甲虫で、沈水植物のクロモなどを食べる。ネクイハムシの仲間の多くが成虫になると水から出るのに対し、一生を水中で過ごし、水質のよい場所でしか生息できない。
明治18(1885)年に新種として発表され、その後千葉県や兵庫県などでも採集された。国内での詳しい分布や生態は分かっておらず、昭和37年に福岡市で確認されて以降は見つかっていなかった。環境省の「レッドリスト2020」では絶滅種(昆虫類では4種のみ)に分類されていた。
今回の個体は、京都大で植物と昆虫の共生関係などを研究している加藤真(まこと)教授が別の研究のために琵琶湖から持ち帰ったクロモから発見。旧知の仲でネクイハムシの仲間に詳しい曽田氏に遺伝子解析などを依頼した。
過去に生息が確認されたのは小さな池が多いといい、曽田氏は「琵琶湖で見つかったのは意外だったが、エリアによっては長期間にわたって水質が保全されてきたのかもしれない」と分析した。