主張

参院選と憲法 「平和守る9条改正」論を

参院選立候補者の街頭演説を聞く有権者ら=東京都内(三尾郁恵撮影)
参院選立候補者の街頭演説を聞く有権者ら=東京都内(三尾郁恵撮影)

参院選で各党党首らは憲法改正、とりわけ第9条改正に対する考えをもっと語ってほしい。

衆院では憲法改正に前向きな勢力が3分の2以上を占める。今回の選挙の結果、参院でも改憲勢力が3分の2以上を占めれば、憲法改正が現実の政治日程に上る可能性は十分にある。憲法論議が低調であってはならない。

安全保障が参院選の主な争点となったが、この問題は9条の在り方と密接にかかわっている。

ロシアによるウクライナ侵略や、力を背景とした中国の一方的な現状変更の動き、北朝鮮の核・ミサイル戦力の強化など、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。

国民の生命と日本の繁栄が脅かされているのだが、9条を金科玉条にしても事態は少しも改善しない。それどころか、9条を旗印にした勢力の無理解や妨げで、自衛隊や日米同盟に基づく抑止力の構築は妨げられてきた。

平和を保ち、国民を守る憲法へ刷新は急務といえる。

世界の民主主義国はそれぞれ軍隊を持ち、抑止力にしている。自衛隊も国際法上、軍隊として扱われている。民主主義国に効果的な防衛力がなければ、力の信奉者である専制国家に対する外交すら十分に展開できない。

報道各社の世論調査で、防衛費増額への支持が多数を占めるようになった。ロシアによるウクライナ侵略を目の当たりにした国民の間で、平和を守る役割を担う自衛隊への期待が広がっている表れだろう。

自衛隊員は有事や大災害時に自身の危険を顧みずに任務に当たる存在だ。そのような自衛隊を「憲法違反」とする解釈が出てくる憲法を是正するのは当然である。

憲法への自衛隊明記の意義はほかにもある。平和を守る抑止力を日本が備える意義を学校教育などでも丁寧に伝えられるようになる。日本全体の安保論議、防衛意識の底上げが期待できる。

岸田文雄首相(自民党総裁)はNHK番組で、自衛隊明記や緊急事態条項創設など4項目の党改憲案について「喫緊の課題」と述べたが、演説ではほとんど触れない。憲法改正に前向きな党や候補は自衛隊を憲法にどのように位置づけるかを語ってほしい。「9条を守れ」と唱える共産党、社民党の熱意だけは見習うに値する。

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