参院選〝首都決戦〟

(3)リベラル票の行方 平和と護憲訴える社民・共産

歩行者天国で候補者の演説に耳を傾ける人々=7月3日、東京都中央区(鵜野光博撮影)
歩行者天国で候補者の演説に耳を傾ける人々=7月3日、東京都中央区(鵜野光博撮影)

「社民への期待が『大きな声』となるか、『うめき声』で終わるか。後がない厳しい選挙になる」

社民党新人の服部良一氏(72)=同党幹事長=は、公示10日前に荒川区内で開かれた決起集会の後、党の苦境をこう語った。

「戦争反対」「平和憲法の擁護」の主張を貫く同党だが、「ロシアによるウクライナ侵攻を受け、多くの国民が軍備拡大を意識している雰囲気だ」と服部氏。公示後の街頭では、防衛費増額を主張する声に対して「戦争を呼び込んでいる」と批判する。

議席少なくとも

だが、聴衆からは冷ややかな声も聞かれ、大学生の一人は「危機感はないのだろうか」と話した。それでも服部氏は、「社民への期待は少なからずある」と力を込める。

社民党は今回の選挙で得票率2%を切ると、国政政党としての要件を失う。同党は令和元年の参院選では得票率2・09%と踏みとどまったが、昨年の衆院選では1・77%に低下した。服部氏の戦いは「全国比例で得票率2%を死守するため」(党関係者)の戦いでもある。

ある地方議員からは「正直、ほかのリベラル政党との差別化は図れていない」と本音も漏れる。そんな中、今月2日に世田谷区で行われた演説で、応援に立った保坂展人世田谷区長は、こうエールを送った。

「議席は少なくても、しっかりはっきりものを言い、今の日本の政治を正していく党は必要だ。底を打って浮上する選挙にしようじゃありませんか」

共闘の追い風なく

一方、共産党は再選を狙う現職の山添拓氏(37)を立て、支持拡大に懸命になっている。

「平和と憲法9条がかかった選挙になる」

公示に先立つ6月15日、千代田区で行った事務所開きのあいさつの場で、山添氏は熱弁をふるった。

ただ、6年前の初当選時とは「かなり様子は違っている」と党都委員会幹部。前回は、前年9月に平和安全法制関連2法が成立し、当時の野党は同法制への反対を軸にした野党共闘の勢いがあった。その追い風を今回は感じないという。

陣営は、選挙区では他のリベラル政党と「競争する」という姿勢を示す。6年前、東京での比例票は約88万票だったが、山添氏の当選を確信した支持者らの票が他のリベラル政党候補に流れたとされ、山添氏の得票は約67万票にとどまった。「昨年の衆院選東京ブロックでの比例票は約67万票で、そこから6年前と同様に20万票が流れると一気に当選ラインの50万票を切る」と懸念する声もある。

軍拡の不安を票に

組織政党の印象が強い共産党だが、党関係者は「都内の党員は5万人ほど。得票の半数以上は浮動票」と話す。「大軍拡の大合唱の中で、不安を感じる人たちがいる」として、無党派層の支持を広げたい考えだ。

報道各社の情勢調査では「当選圏内」とも伝えられるが、山添氏は今月4日夜、新橋駅前での演説で「当落線上、最後の一議席を争っている。どうか押し上げてください」と声をふり絞った。(末崎慎太郎)

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