コロナ その時、

(46)2022年2月14日~ 露侵攻、2つの脅威に直面した世界

北京冬季五輪が終盤を迎えた2月16日、新型コロナウイルス感染対策を助言する厚生労働省の専門家組織は、感染流行の第6波のピークは越えたが、死者数や重症者数は遅れて増加すると警戒を促した。そうした中、24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始。コロナと闘ってきた世界は、武力侵攻という新たな脅威とも対峙(たいじ)する。

全日本空輸と日本航空は2月14日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の職場接種を本格的に始め、その様子を報道陣に公開した。3回目接種の立ち遅れが指摘される中でのスタートだ。15日には1日当たりの国内死者数が初めて200人を超え、236人を記録する。

重症者、高齢者を中心に高止まり

一方、新規感染者数については下降線を描いていた。「全国で2月上旬に感染のピークを越えたと考えられる」。新型コロナウイルス感染対策を助言する厚生労働省の専門家組織の脇田隆字(たかじ)座長がこんな見解を示したのは16日。ただ、重症者数や死者数は感染者数のピークに遅れて増加する。脇田座長は「当面は医療逼迫(ひっぱく)が続く」との認識も示した。

事態の予測は困難だったが、岸田文雄首相は経済社会活動の再開姿勢を明確にする。17日の記者会見ではコロナ対策に関し「慎重さは堅持しながら、次のフェーズへと段階的に準備を進めていくべきだ」と強調。政府は同日、東京を含めたどの都道府県に対しても、宣言を発令しない方針を決定。コロナとの共存、経済再開へ、切り札となるワクチン3回目接種の態勢構築を加速させていった。

東京都は17日、都の基準に基づく重症病床使用率が31.5%、酸素投与が必要な入院患者の割合が25.8%になったと明らかにした。高い数字だったが、小池百合子知事は、7日間平均の新規感染者数(約1万5000人)が政府への緊急事態発令要請の基準以下であることを踏まえ、宣言の要請は「総合的に勘案し見守っていく」と述べるにとどめた。

翌18日には政府が、月末までに期限を迎える17道府県の蔓延(まんえん)防止等重点措置を3月6日まで延長する方針を決めた一方、沖縄など5県は2月20日の期限で解除することも決めた。

ただ、脇田座長が懸念したように、死者数や重症者数は減少しない。死者は19日まで5日連続で200人を超え、22日には322人で過去最多を更新した。重症者数も、高齢者を中心に高止まりが続いた。

規制の撤廃が続く

一般市民との接触を遮断する「バブル方式」が敷かれた北京冬季五輪は、20日に閉幕。日本勢は、スピードスケート女子1000メートルで高木美帆選手が金メダルに輝くなど、史上最多18個のメダルを獲得する活躍を見せた。

世界に目を向けると、各国でコロナ規制の撤廃が引き続き進んだ。

フランスでは16日、2021年12月上旬から営業停止していたディスコの再開が認められ、映画館や交通機関での飲食禁止も解除された。スイスも17日、飲食店などでのワクチン接種証明提示や、屋内施設でのマスク着用義務など大半の規制措置を撤廃。英国は24日、人口の大半を占めるイングランドで感染者に対する隔離義務を解除し、これにより新型コロナ対策の全ての法規制が廃止された。

一時は「ゼロコロナ」を目指していたオーストラリアは21日、ワクチン接種完了を条件に全ての国からの入国容認に転換。ニュージーランドは28日、2年近く実施してきた国境封鎖の段階的緩和をスタートさせた。

露の暴挙世界揺るがす

しかし、ここにきて、取り戻しつつあった「日常」を一変させ、国際社会を揺るがす新たな問題が勃発した。

24日、ウクライナ東部の親露派支配地域に住む「自国民の保護」を名目に、ロシア軍がウクライナに侵攻。同国のゼレンスキー大統領は全土に戦時体制を導入すると宣言し、ロシアとの断交を表明した。米欧は一斉に侵攻を非難。金融制裁の強化や先端技術の輸出規制を含む制裁、軍事支援を相次いで発表した。

露軍の攻撃によるウクライナ市民の犠牲も急激に増えていく。ウクライナ内務省は27日、侵攻による民間人の死者が、子供14人を含む計352人になったと発表。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は28日、50万人超がウクライナから隣国へ退避したと明らかにした。

世界は、コロナに加え、ロシアの暴挙という2つの脅威に同時に挑まざるを得なくなった。

(45)2022年2月1日~ 新規感染10万人を突破

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