AEDで男性の命救った一家、背景にあった〝経験〟

陽月さんが夏休みの自由研究でまとめた自宅周辺のAEDの一覧
陽月さんが夏休みの自由研究でまとめた自宅周辺のAEDの一覧

心肺停止状態になった男性に自動体外式除細動器(AED)を使うなどして命を救ったとして、東京消防庁小岩消防署は東京都江戸川区の家族3人に感謝状を贈呈した。一家は夫が過去にAEDを使って救命された経験から、自宅周辺のAEDの設置場所を調べて把握したり、AEDの使い方を学んだりしており、普段からの取り組みが迅速な救命につながった。

感謝状が贈られたのは同区南小岩在住の小学校副校長、林正隆さん(50)と保育園副園長の妻、美弘(みひろ)さん(37)、小学4年生の長女、陽月(ひづき)さん(9)の3人。

6月4日午後6時ごろ、リフォーム工事のため一家の自宅に来ていた作業員の男性(49)が、正隆さんと話している最中に突然倒れた。

意識がなく、脈もなかったため、正隆さんと美弘さんは交代しながら、心臓マッサージをしたり、気道を確保したりして救命処置を実施。美弘さんは自宅から約120メートルのマンションからAEDを借り、正隆さんとともに蘇生(そせい)処置を行いながら救急車の到着を待った。陽月さんは外に立って到着した救急隊員を誘導した。

美弘さんは「1人だったら動揺していたかもしれない。家族全員でいたので、落ち着いて行動できた」と振り返る。

一家の〝連携プレー〟のおかげで男性は一命をとりとめ、現在は回復しているという。

この迅速な救命処置には一家のさまざまな経験が背景にあった。

3年前、正隆さんはマラソン大会出場後に心臓発作に襲われ、AEDによって命を救われたという。陽月さんは小学1年生のころ、その出来事をきっかけに夏休みの自由研究として自宅周辺のAEDの場所を調査。美弘さんとともに実際に訪問して写真を撮影し、最寄りのJR小岩駅周辺の地図にAEDがある地点をまとめた。

正隆さんと美弘さんも職場のAED講習に参加し、AEDの使い方を学んでいたという。

小岩消防署の石沢幸洋署長は「これまでの経験を生かした速やかな通報と適切な救命措置で、救急隊へのバトンがつながれ、男性の一命をとりとめた」とたたえた。

一家で協力して男性の命を救った陽月さんは「今度は私がAEDを取りに行こうと思う」と話し、正隆さんは「AEDによって生存率は大きく変わる。躊躇(ちゅうちょ)なく使ってほしい」と訴えた。(内田優作)

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