温暖化で海水温上昇 大被害もたらす「危険な雨」45年で倍増

近年続発する豪雨災害の主な要因が線状降水帯だ。積乱雲が連続発生し、同じ場所に大量の雨が降り続ける現象で、急激に災害リスクを高めることで知られる。そんな線状降水帯を含む「危険な雨」が増えている。発生頻度は約45年間で倍増し、最もリスクが高まる時期は7月との分析もある。地球温暖化などが影響しているとみられ、専門家は「逃げる意識を持ってほしい」と呼びかけている。

次々と発生した積乱雲が風に流されて線状に連なり、同じ地域に大量の雨を降らせる線状降水帯。気象庁によると、降水帯の長さは50~300キロ程度、幅は20~50キロ程度に及ぶ。1つの積乱雲の持続時間は1時間前後だが雲が次々と発達し、風に流されながら列になることで、同じエリアに長く雨を降らせる。

平成以降指摘されていた現象だが、広く知られるようになったのは26年8月に広島県で土砂災害を引き起こした豪雨だ。鬼怒(きぬ)川の堤防決壊などが起きた関東・東北豪雨(27年9月)では少なくとも線状降水帯が10個発生。西日本豪雨(30年7月)でも、15個の降水帯ができていたとの分析もある。

こうした命を奪いかねない危険な豪雨は増加傾向にある。気象庁気象研究所の分析では、線状降水帯を含む3時間雨量が130ミリ以上の集中豪雨の頻度は、昭和51年に比べ令和2年時点でほぼ倍増。7月に限れば約3・8倍に増えていた。

「地球温暖化で日本周辺の海水温が上昇し、増えた水蒸気が積乱雲となり、大雨が降りやすくなっている」。京都大防災研究所の中北英一教授(水文気象学)はこう分析する。

中北氏によると、過去に甚大な被害を招いた線状降水帯は、東シナ海や太平洋などからの水蒸気が入りやすい九州を中心とした西日本で多発する傾向にあった。ただ今後は地球温暖化の影響により、関東や東北でも降水帯が発生しやすくなる可能性もあるという。

線状降水帯の危険性は明白だ。早期の準備を促すため、気象庁は6月から「半日前予報」をスタートさせたが、精度には課題がある。今月5日に台風4号の影響で高知県で今年初となる線状降水帯が発生したものの、梅雨時のものとは異なったため予報は出せなかった。

中北氏は「豪雨予報が出たときは、まずは逃げる意識を持ってほしい」とした上で、「逃げることをためらわないために、普段から避難袋の準備や避難経路の確認をしておくことも大切だ」と述べた。

今夏のゲリラ豪雨、1・4倍予測も

狭い範囲で突発的に激しい雨が降る「ゲリラ豪雨」にも注意が必要だ。土が少なく水がしみこみにくい都心部では、下水道の処理能力を超えてマンホールから水があふれたり、地下街が浸水したりする被害が想定される。今夏は太平洋高気圧の配置の影響で、特に西日本でゲリラ豪雨の発生が増えるとの予測もある。

気象情報会社「ウェザーニューズ」は、過去の気圧配置などのデータや今年の気象予測をもとに、今年7~9月のゲリラ豪雨の発生回数を予測。昨夏の約6万3千回に対し、今夏は1・4倍増の約9万回のゲリラ豪雨が起きると見込んだ。

地域別では西日本の約4万3千回(昨年同期比1・8倍増)が目立った。今シーズンは日本列島を覆う太平洋高気圧が北にはり出しやすく、西日本に暖かく湿った空気が入りやすいためだ。東日本では約2万4千回、北日本では約1万7千回の見込みとなり、いずれも昨年同期比1・2倍増だった。

都道府県別の予測では、沖縄(5700回)▽福島(5400回)▽北海道(5千回)-の順に多かった。昨夏との比較では、佐賀と大分、茨城で約3倍の増加が予測されるなどの特徴もあった。

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