参院選2022

安保、すれ違う議論 鍵握る宗男氏

立候補者の街頭演説を聞く有権者=6月22日午前9時16分、札幌市中央区(坂本隆浩撮影)
立候補者の街頭演説を聞く有権者=6月22日午前9時16分、札幌市中央区(坂本隆浩撮影)

改選数3に対し、12人の候補がひしめく北海道選挙区。各党党首がこぞって現地入りする中、終盤情勢では自民党の現職が先行、立憲民主党の現職がやや優勢と伝えられ、残る1枠を与野党の新人らで激しく競り合う。鍵を握るのは、国政では対立関係にある自民支持に回った日本維新の会の鈴木宗男参院議員の動向だ。一方、国境を接するロシアの脅威が現実味を帯びる中、安全保障を巡る議論は与野党の間ですれ違いを見せている。

3日、家族連れらでにぎわった札幌市中心部の大通公園。「北海道はロシアの脅威に立ち向かっていかなければならない」。元衆院議員の自民新人が声を張り上げて呼びかけた。

応援に駆け付けた岸田文雄首相と並び立ったのは、維新北海道総支部代表を務める鈴木氏。維新は選挙区で独自候補の擁立を見送り、鈴木氏が率いる地域政党「新党大地」として自民新人を推薦した。

ロシア側と太いパイプを築く鈴木氏は、ウクライナ侵攻で対露圧力を強める政府の方針には否定的で、「一刀両断に制裁しても、北方領土の解決はじめ、エネルギーの安定供給にも何もプラスがない」と言い切る。だが政策面でも思想的にも自民に近く、「国益を損ねるとの観点から、他の野党に利する考えはなかった」という。

改選数が2から3に増えた6年前の参院選は、自民にとって苦い記憶となった。2人を擁立したが、当選したのは1人。「票の配分がうまくできていれば2人とも当選した」(自民関係者)との見方は根強い。

鈴木氏が今回新人を特に支持するのは「知名度不足」(同)を補うのに加え、保守票が現職に偏らないようにする狙いもあるとされる。情勢で一歩リードする現職の選対幹部は「向こう(新人陣営)も必死にはがしてくると思う」と警戒心を強める。

身内に「ライバル」を抱えるのは、2人を公認した立民も同様だ。6年前に続いて2議席維持を狙うが、国民民主党や共産党との候補者調整が成立しなかったことで、野党間で票を奪い合う形になった。優勢が伝えられる立民現職の選対幹部は「決して安堵(あんど)はしていない」。

閣僚経験者の後継指名を受けた立民新人はかつて新党大地に所属していたが、今回の選挙では真っ向からぶつかる。「与党におきゅうを据えるのが参院選。大きな企業、団体の応援はない。街頭に立って、草の根でここまで支援が広がってきた」と訴え、支持拡大に道内を飛び回っている。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、軍事的緊張も高まる北海道。北方領土周辺ではロシア軍の演習が繰り返され、6月にはロシア軍艦艇7隻が北海道南方から千葉県沖まで南下した。

自民現職は「北海道を抜きに食料安全保障、エネルギー安全保障、国家の安全保障を語ることはできない」と訴え、政府が安全保障に総力で対応している姿勢もアピールする。

だが、野党側が争点として力点を置くのは物価高対策だ。ウクライナ情勢の影響で燃料代などが値上がりし、漁業や畜産が盛んな北海道民の暮らしも直撃。立民は消費税減税など「生活者目線」の政策を掲げて支持を訴える。

国民の新人は「エネルギーも食料も自分の国は自分で守るのが原則」と主張。共産の候補は「平和憲法がどれだけ日本の一人一人の未来を照らしたことか」と護憲姿勢を強調する。NHK党の新人の一人は「安全保障が米国頼りになっている。国防力を上げていくべきだ」と訴えている。(大竹直樹、坂本隆浩)

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