<独自>自衛隊施設4割が旧耐震基準、改修進まず

防衛省=東京都新宿区(川口良介撮影)
防衛省=東京都新宿区(川口良介撮影)

防衛省が所有する自衛隊施設の約4割が建築基準法改正前の旧耐震基準で建てられ、うち約8割が耐用年数を過ぎていることが同省のまとめで分かった。予算不足で隊舎や弾薬庫などの老朽化が進んでいる。政府は年末までに進める「防衛計画の大綱」など戦略3文書の改定に合わせ、建て替えや耐震改修に必要な防衛予算を確保したい考えだ。

防衛省は陸海空の各自衛隊施設を全国各地に計2万3254棟所有している。うち昭和56年の建築基準法改正で新耐震基準が定められる前に建てられたのは9875棟で約4割に上る。昭和20年以前の旧軍時代の施設も589棟が残る。

旧耐震基準の建築物は、耐震診断を受けて改修工事など必要な措置を取ることが努力義務となっている。しかし、防衛省が保有する旧耐震建築9875棟のうち、改修済みは339棟でわずか約3%。建物の耐用年数は鉄筋コンクリート造りや木造などで異なるが、旧耐震の約8割は耐用年数が過ぎている。

また、旧耐震建築の中で耐震改修などが義務付けられる3階建て以上、延べ床面積1000平方メートル以上の特定建築物は492棟。うち57棟が未改修で、今年度予算にも計上されていない。

陸自船岡駐屯地(宮城県)の火薬庫は築81年で出入口が狭く、フォークリフトが使えずに隊員が手作業で搬入している。首都直下地震が危ぶまれる三宿駐屯地(東京都)の本部庁舎は築66年で出入口の天井表面が自然に崩落した。宇治駐屯地(京都府)の衛生試験室は築126年だ。

海自鹿屋(かのや)航空基地(鹿児島県)の築86年の庁舎はクラック(亀裂)が入っているほか、空自千歳基地(北海道)の戦闘機を防護する「掩体(えんたい)」は大量の錆(さび)と変形が生じている。

政府は今年の経済財政運営の指針「骨太の方針」で、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記。重点政策に「隊舎・宿舎の老朽化対策」と書き込み、来年度予算での対応を図る。防衛省幹部は「『今年も使える』と言って対策を取らずにいる。災害時に真っ先に駆け付けるべき自衛隊が被災して動けないこともあり得る」と危機感を募らせる。

施設改修に予算を割けば正面装備や弾薬などに関連する予算を圧迫する懸念もある。自衛隊制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は6月30日の記者会見で「防衛施設は防衛力の基盤となる。必要な機能を議論する中で優先順位を考えて対応していく」と述べた。(市岡豊大)

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