生かせなかった「ドコモの教訓」 KDDI障害

2日に発生した通信障害についての会見で質疑応答に応じるKDDIの高橋誠社長(右)=3日午前、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
2日に発生した通信障害についての会見で質疑応答に応じるKDDIの高橋誠社長(右)=3日午前、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

完全復旧まで約86時間という異例の長期にわたったKDDIの通信障害は、発生4日目にようやく収束宣言に至った。今回の障害は、通信の集中が原因の一つという意味でNTTドコモの昨年10月の障害と共通した部分があったが、KDDIは教訓とすることができなかった。同社の再発防止の徹底とともに、同様の障害が再び起きないよう携帯各社間での知見の共有や、障害発生時の通話の各社間のローミング(乗り入れ)などが検討課題となる。


「ドコモの通信障害の教訓が生かされていたかどうかが課題となる」

金子恭之(やすし)総務相は5日の閣議後記者会見で、KDDIの通信障害の再発防止策などを議論する有識者会議で、今後検証するポイントについてこう強調した。

KDDIの障害はドコモと同様に、設備に通信のアクセスが集中して発生し、処理しきれなくなる「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる現象に対応できず、事態の深刻化を招いたという点で共通している。

4日にオンラインで記者会見したKDDI技術統括本部長の吉村和幸取締役執行役員専務も、スマートフォンなど端末からの通信が集中したという点で「ドコモと同じ事象と思っている」と認めた。

KDDIはドコモの障害の発生後、輻輳が発生してもすぐに復旧できる手順の確保とシステムの設計見直しを実施しており、今回の障害発生後にドコモと同様の復旧手順を取った。しかし、それでも収まらなかったといい、吉村氏は「なぜ想定したよりも障害の範囲が大きく広がったのか、しっかりと検証して再発を防止したい」と述べた。

通信の輻輳の長期化は「通信事業者として一番やってはいけないこと」(高橋誠KDDI社長)だが、携帯電話回線が第5世代(5G)移動通信システムへと進化して複雑化していくにつれて起こりやすくなっている。携帯電話回線は交通や金融など社会のあらゆる場面で利用される基幹インフラとしての側面が増しており、KDDI側にこうした認識が足りなかった感は否めない。

今回の障害で緊急通報が使えなかったことを受けて、吉村氏は5日、障害発生時に他社の通信回線を利用して緊急通報できるローミングの導入を、総務省とも連携して検討する方針を示した。社会的な責任の重い通信企業としては急務といえる。

一方、ドコモの障害の際、総務省は発生から27日後の11月10日に同社から報告を受け、同26日に行政指導を行った。KDDIについても同様のスケジュールで検討が進むとみられる。ただ、今回は岸田文雄首相からの指示で、総務省の通信分野のトップで技術系の次官級職員をKDDIに派遣するなど、異例の厳しい対応を取っており、行政指導についてもより厳しいものとなる可能性がある。(大坪玲央)

KDDI障害が完全復旧 総務相「再発防止を議論」

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