総務省消防庁が、各地の消防本部に無償貸与している中型と大型の水陸両用車の出動実績が低迷している。2012年度以降、7府県の市消防などに計8台が配備されてきたが、被災地への出動は3回だけ。通常の車両では入れない現場での救助など特殊用途に限られるためだ。災害に備え、現場経験を積めるかどうかが課題になっている。
赤い水陸両用車が無限軌道で土手を軽々と乗り越え、水しぶきを上げながら川の中に飛び込んだ。愛知県豊橋市消防本部が6月に取り組んだ訓練。中型水陸両用車に乗った隊員が溺れた役の人を救助し、安全な場所に運んだ。
同車両は東日本大震災をきっかけに全国の消防本部に貸与、8人乗りの中型をはじめ14人乗りの大型など被災地での救助や捜索などが期待される。
消防庁の担当者は「過酷な現場では必ず活躍できるはず。積極的に使ってほしい」と訴える。
各消防本部も、いざという時に備えた訓練や車両の改善に力を入れている。