河村建一氏が比例で苦闘 山口県連冷遇 二階派頼り

昨年10月の衆院選山口3区の公認争いに敗れ、引退に追い込まれた自民党の河村建夫元官房長官の長男、建一氏(46)が、参院選(10日投開票)の比例代表で苦闘を強いられている。衆院選での公認をめぐる対立が尾を引き、自民山口県連は、建一氏の所属を認めず冷遇する。地元の支援が得られない建一氏は、建夫氏が所属した二階派議員を頼りに、父親と二人三脚で全国を奔走し、票の積み上げを図っている。

「父が返し切れなかった恩を私に返させてほしい」

選挙戦も後半に差し掛かった先月30日。建一氏は建夫氏の地盤だった同県宇部市で総決起大会を開き、声を詰まらせながら訴えた。

大会には、二階派事務総長の武田良太元総務相が応援のメッセージを寄せたほか、同派の小林鷹之経済安全保障担当相が駆け付け「同世代の大切な仲間とともに日本を変えていきたい」と支持を呼び掛けた。

会場には支持者ら約300人が詰めかけたが、前方の来賓席には空席が目立った。県選出の衆参国会議員の姿はなく、秘書らによる代理出席も安倍晋三元首相(衆院山口4区)だけだった。

建一氏は昨年12月に比例で党公認を受け、山口県連会長の岸信夫防衛相(同2区)に県連入りを直訴していたが、認められなかった。一方で、県連は比例ではすでに現職の阿達雅志氏(62)を重点候補として支援することを決定していたため、建一氏は地元から追いやられる格好となり、現在は東京都連に籍を置く。

冷遇の背景には、昨年の衆院選で建夫氏と林芳正外相が繰り広げた熾烈(しれつ)な公認争いがある。結果的に林氏が公認を勝ち取り、敗れた建夫氏は引退を余儀なくされたが、柳居俊学・県議会議長以下、林氏を推した多くの県議には河村家に対する感情的なしこりが残った。関係者によると、建一氏の県連所属を認めないのは、柳居氏を中心に県連で主な役職を占める県議らの意向が働いている。

昨年の衆院選では、公認争いに敗れた建夫氏に代わって建一氏が比例中国ブロックから出馬予定だったが、公示直前に無縁の北関東ブロックへと変更され、落選した。突然の国替えは、別の候補の当選に力を入れていた県連が建一氏について「何ら関わりのない候補だ」と党本部に抗議していたことが影響した。

今回の参院選でも地元県連の支援が得られない建一氏は、全国の二階派議員を頼りに支持拡大を図る。これまでに東京をはじめ隣県の福岡や静岡、群馬などを行脚し、票を積み重ねようと懸命だ。建夫氏も沖縄で500人規模の集会を開くなど各地を回る。

自民は今回、比例に33人を擁立。そのうち20人程度が当選する情勢で、陣営は当選ラインに届くには「15万票は必要」とみる。15万票のうち地元山口では5万票の得票を目標に据える。過去に建夫氏が衆院山口3区で得ていた票が約10万票だったことから、その半分を積み上げたい考えだ。

ただ、地元支援が薄く、県連の重点候補が別にいる中で自民関係者は「半分にも届くかどうか」と懐疑的な見方を示す。

「最後に頼りになるのは地元」

先月30日の総決起大会。建夫氏は、沖縄から戻った足で宇部市に駆け付け、支持者に頭を下げた。(小沢慶太)

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