浪速風

伝統の継承

この人と話していると、家を継ぐ、伝統を継承するとは大変なことだと、つくづく思う。能のシテ方金剛流の若宗家、金剛龍謹(たつのり)氏(34)が31日、金剛能楽堂(京都市上京区)で『三輪―神道(しんとう)』を初めて舞う。神道の小書(こがき)(特殊演出)が付く『三輪』は、金剛流の宗家が一子相伝するもので34年前、二十六世宗家の父、永謹(ひさのり)氏が若宗家時代に舞って以来の舞台だ

▶シテは三輪明神として天岩戸(あめのいわと)の神話を語り、神楽を舞う。摺拍子(すりびょうし)という特殊な足拍子は、『翁』や『道成寺』で使われる乱拍子に通じ、能の古態を想像させる。「ここで舞っておかないと絶える心配がある」と龍謹氏が言う難曲だ

▶当日は龍謹氏の長男・謹一朗君(6)が半能『岩船』で初シテを勤める。稽古をつけているのは龍謹氏である。「私の時より少し早いが、経験は後々の財産になります」。舞台で見守る後見(こうけん)も『三輪』を終えた龍謹氏が務める。『三輪』の後見は永謹氏。三代が連なる一日になる。

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